きっとそういうこと

幸せ編

高校卒業して干支が一周してもなお、と共にいる。

あの頃と同じ、いや、それ以上に幸せだと思える自分が幸せなんだろうなと思う。

例え俺を睨みつける人物がいたとしても。

「・・・・・・何?」

「またママ見てる!!!!」

ソファに座り、視界の先には庭へ続くデッキがあり、そこで洗濯物を干す

その足に絡みつくように長男である(4歳)が絡み、の横を長女の(5歳)がくっついて話しかけている。

日常茶飯事で慣れっこなのだろうは、洗濯物を干しながら子供の相手をしている姿が微笑ましい。

そしては俺をライバル視している。

にまとわりつき、毛を逆なでした猫の様に俺を見てくる。

我が子ながら・・・・・・おもしれぇ!!!!

「もう!笑ってないで手伝ってよ」

「見てて微笑ましいんだけど」

「そういう問題?」

ランドリーボックスを抱えて俺を睨んでくるけど、それすら可愛いと思える自分が嫌いじゃない。

長かった髪も今じゃショートカットが定番になっている。

髪に掛ける時間を睡眠に費やしたいと言う事らしい。

そして出産して間もなく、職にも復帰。

学校の配慮で担任は持っていないらしく、子育てと両立できるんだとか。

ショートカットがまた、色っぽい事に気付いているのか、いないのか・・・きっと学校でも言われてんだろうな。

「・・・・・・」

じとっとした視線を辿れば、やはりが俺を見ていた。

「よし!キャッチボールでもするか?」

「うん!!!!今日はツーシーム!!」

は野球が好きと言うか・・・・・・前に遊びに来た沢村と張り合っている。

同等にみられる沢村に同情しつつも、成長していく息子の姿が微笑ましい。

あれだけ睨んでいても野球をすると言えばコロっと態度を変えるあたりが可愛くて仕方がない。

変化球と言っても手がまだ小さいし、軟球だからきちんと投げられる訳では無い。

「ほら、パパ構えて」

「はいはい」

「はいは一回なんだよ」

「はーい」

「のばしたらダメ」

「(コイツめんどくせえ)はい」

そしてミットを持って構える。

距離だって目と鼻の先。

それでも一生懸命投げてる姿は可愛いものだ。

「パパー、ー!スイカだよ」

声がする方を見ると、がスイカを、が麦茶を持ってこちらに向かってきていた。

手を洗ってウッドデッキに腰掛け、スイカを食べる。

「ママ!プールしたい」

「ちゃんとお昼寝したらね」

「やったー!」

スイカを食べて麦茶を飲み、は二人を連れてリビングに入った。

そこにマットレスを敷いて三人が寝転がり、が子供を寝かしつける。

俺はスイカの器とコップを持ってキッチンへ行って洗い物を済ませてアイスコーヒーを淹れてリビングへ。

ダイニングテーブルに腰を落ち着けると、隣にが来た。

「パパと遊んで疲れたのか寝つきが早いわ」

「なんでリビングで寝かせんの?」

「子供部屋って良くないのよ。だからリビングで勉強させたりね。それに節電にもなるし」

「主婦だな」

「当然!」

そして俺が淹れたアイスコーヒーを口にする。

グラスを置いた所で彼女の手を掴んだ。

「子供が起きるまでを独占させてくんない?」

「・・・・・・まさか、子供にまでヤキモチ?」

「そうそう」

「自分の子供でも・・・きゃっ!」

言い終わる前に彼女を抱き上げる。

そしてそのまま寝室に向かう。

「ちょっ!?」

「悪いけど今すぐ欲しい」

「なっ!!?」

「早くしないと子供達が起きちゃうだろ」

俺は早急な手つきで彼女のTシャツの中に手を入れる。

「夜はゆっくり愛すからさ」

「バカ」

そして顔を寄せて彼女にキスをした。

やっぱり子供が生まれても俺の一番はであり続けるらしい。

きっとそれが俺の幸せなんだと思う。



2017.07.18

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