きっとそういうこと

09話

正月にの家に行った。

この春から無事、青道で教鞭をとる事が決まった彼女。

なので春から同棲させて欲しいと許可を貰う為だ。

ご両親は嫌な顔もせず、OKを出してくれた。

さっそく新居を探し歩くけど目ぼしいものが中々無く、

なんとか彼女の職場にも球場にも遠くない物件を見つける事が出来た。

そしてデートの度に家具やら何やらと探し歩く。

本当はダブルベッドが良かったのに「生活リズムが違うから」と却下された。

なのでシングルベッド2つを並べてダブルにする方法を取る。

マットも別々だから振動が伝わるのも最小限になるだろう。

欲を言えば籍を入れてしまいたかった。

でも彼女の事だから「住んで嫌になりましたは困る」と言われそうだ。

例え彼女が片付け出来ない女だとしても、いびきが凄かろうと嫌いになる事は無いのに。

それくらい惚れてる。

二人で旅行とかにも行ってないから、彼女の寝顔を見た事が無い。

新たな彼女を見て、俺は自分を保てるのだろうか。

とりあえず3月は忙しいので1月末に俺だけ先に引っ越した。

やっと寮生活からの解放。

哲さんの将棋に付き合わされる日々も終わる。

新しい部屋は1LDKの部屋。

もう一部屋あっても良かったが、収納が多いマンションで1部屋で良いだろうと。

喧嘩して気まずくなっても個室を持たない方が仲直りも早いと思う。

色々考えた結果、この部屋となった。




「お邪魔しま・・・・・・ただいまか」

「お帰り」

最後の荷物を持ったが引っ越してきた。

「待ってた」

玄関先に大きな荷物を置いたを抱きしめる。

けれど玄関先でまだ肌寒いから抱き上げて部屋に入ってベッドにダイブ。

足も絡ませ、体を密着させる。

「ちょっと・・・」

「はぁ・・・・・・やっとこの日が来た」
「大袈裟じゃない?」

「そんな事ないって。今なら飲み会に参加しない若いサラリーマンの気持ち分かるかも」

なにそれと笑う彼女をぎゅっと抱きしめる。

門限も制限(多少あるけど)の無い朝も昼も夜も全て一緒にいられる様になるんだぜ?

「これから続く幸せだから、まずはやる事やらないと」

柔らかい笑顔で彼女が言う。

まあ、確かにその通り。

やる事やって、夜はゆっくりしよう。

ベッドから体を起こし、二人で昼飯を作った。




彼女の荷物も片付き、二人で買い物に出た。

食材の買い物は初めての事で、新婚って言うのはこういうものかと思った。

「いずれ一也と住むんだから料理くらい覚えなさいって、お母さんが」

仕込まれたと言うだけあって、手際が良い。

今日は時間があるからと言う事で、二人で中華料理を作った。

一緒に作って一緒に食べて一緒に後片付けをする。

当たり前の事も彼女と一緒であれば苦にならない。

けれど一緒の風呂だけは却下された。

久し振りのスッピンの

「ちょっ・・・見ないでよ」

「何で?数年前まで毎日見てたじゃん」

「もう年齢を誤魔化さないといけないの」

「問題ないって」

寝るためにベッドまで来た彼女の腕を引き、押し倒す。

体を密着させ首筋に顔を埋めれば、自分と同じボディソープの香り。

そんな些細な事さえ、興奮材料でしかない。

「今日、抑える自信ねえから、先に謝っておくわ。ごめん」

「いいよ」

首に回された腕をイエスと理解し、彼女のシャツに手を入れた。




散々抱いた後、彼女はそのまま寝てしまった。

熱いタオルで体を拭ってやり、俺も横に入り込んだ。

初めて見る寝顔。

すやすやと気持ち良さそうな顔。

この寝顔を守っていけるように努力しないとな。

彼女を抱きしめて、俺も眠りについた。


2017.03.02

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