きっとそういうこと

11話(御幸視点)

一緒に住みだして三か月が経った。

互いの生活ルールも安定して、些細な揉め事も減った。

は教師生活がスタートし、1年の副担任を任せられたと言っていた。

試合が終わって家に帰ると、机に突っ伏して眠ってる事もある。

体調を崩さないかと心配にもなるが、最初と言うのは多少の無理はつきもの。

俺の方もシーズンが開幕していて、一緒にいられる時間が少なくなっていた。

「お?御幸、今日は愛妻弁当か?」

「まだ妻じゃないっすよ」

「変わんねえだろ」

時折弁当を持参していると先輩にからかわれる事もあった。

弁当箱を覗いた先輩に「バランス良いな」と褒められた。

それをに話すと「良かった。でも自分の為にも良いからね」と笑っていたっけ。

結局料理は彼女に任せる事が多い。

同じものを作っても女性が作るだけで見た目が違うのが面白い。

最近の悩みの種は、先輩に「彼女と会わせろ」と言われる事だった。

一番の目的はの友人を紹介しろだけど。

「結婚しないのか?」

「俺はする気なんですけどね」

「なんだ、嫌がってるのか?」

「今は新しい生活に慣れるのに精一杯らしいっす」

付き合い始めて5年。

今の俺は1軍で試合にも出る様になってるし、結婚するのは良いタイミングだと思ってる。

子供も欲しいしな。

けれど彼女もなりたくてなった教師だ。

直ぐに結婚生活で縛られるのもな。

なんか、色々考えたら婚期を逃しそうだ。




試合が終わって家に帰ると、ガサガサと袋を開ける音がした。

「なんか買ったのか?」

「あ、お帰りなさい。体育祭で着る教師用のTシャツとかが届いたの」

の周りにはジャージ等もあった。

「これ、着るの?」

「そうだよ。教師リレーも出る事になっちゃった」

いつもはパンツスーツの彼女。

それがジャージを来てTシャツを着て薄着になる。

「あー・・・まいったな」

年頃の野郎達が彼女を見る。

礼ちゃんほど大きくは無いけど大きな胸に細い腰を見て、興奮すんだろうな・・・

きっと好きだと言う男が増えるだろう。

「どうしたの?」

「なるべくジャージ着てろよ?日焼けもするし」

「え、うん?」

彼女の頭に手を乗せて、キッチンに向かう。

いつも夜食を用意してくれているから食べてから寝る事にしている。

準備を済ませてテーブルに運び、タグを外しているを見ながら胃を満たした。


2017.04.03

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