「プロ野球選手と付き合うってどんな感じ?」
それは親友であるから投げかけられた問い。
思わずコーヒーに入れようとしていた砂糖を袋ごと入れてしまった。
「うわっ!?」
「ちょっ!なにやってんの!!!?」
スプーンで拾い上げ、ペーパーナプキンで零れたコーヒーを拭う。
そして砂糖を諦めミルクだけを入れた。
「で、どんな感じ?」
「どんな感じって・・・」
「高校の時に彼氏いたじゃん?サッカー部の」
「ああ・・・」
「やっぱ違うでしょ?」
「そうでもないよ」
「だって夜とか会えないじゃん?あんた実家だし御幸君は寮だし」
「普通に大学生だとしても学校終わっ てバイトしてれば夜会えないし」
「あ、そっか」
「デートしてても声掛けられる事少ないし」
「声掛けられるの?」
「たまーに。でも高校卒業した前後でも声掛けられる事あったし」
「そうなの?」
「うん」
「なんか普通と変わらないね」
「そう思うけど。というか何を期待したのよ」
「いや~~~何かあればと。でもさ、御幸君って優しいの?女の子に冷たいイメージあるけど」
「どうかな~。倉持が言うには、高校の頃はファンとかに愛想ふりまくタイプじゃなかったって」
「今はふりまくの?」
「そうでも無いかな?誰彼構わず相手にはしてないし」
「難しい男だね」
「でも無いよ。私には」
「惚気か!リア充退散!!!!」
「聞いたのでしょ!!」
「そうでした~。でもさ、好きあって付き合った訳じゃないのに続いてるね」
「そうだね。自分でも驚いてる」
「でもさ、御幸君が浮気してるかもとか考えない?」
「あー」
「先輩に連れられて風俗とかさ」
「無い・・・と、思いたい」
「自信なさげじゃん」
「いやいや、無いでしょ。それこそ向こうはアナウンサーや女優さんと会ったりするだろうし」
「この間の始球式、○瀬はるかだったしね」
「そうそう。気になり出したらキリがないし、気にしない様にしてる」
「それもそうか。まあ、御幸君が浮気したら健二郎連れて行けばいいんじゃない?」
「え?健ちゃん?あー確かに一也に話してないかも」
「心配してたよ」
「そっか。健ちゃんに連絡してないなー。同じ大学だから見かける事はあるけど」
「健二郎も淋しいんじゃない?」
「いるじゃん」
「もう!分かってるクセに」
「と言うか、これから会うんでしょ?」
「まあね」
「じゃあ、待ち合わせ場所まで一緒に行くよ」
「一緒に夕飯食べようよ」
「え?ヤダよ。邪魔だもん」
「健二郎も喜ぶって」
「じゃあ、健ちゃん次第で」
「決まり!じゃあ、行こう」
そして二人で店を出て、待ち合わせ場所に向かった。
2017.04.26