第三話

合宿中に訪れたクリスマス。
体はバキバキだし、練習はキツイしで色気も素っ気も無い。
唯一の救いはクリスマスケーキとシャンメリーくらい。
監督や礼ちゃんに落合コーチからのささやかなクリスマスプレゼント。
メンバーも普段とは違う雰囲気に盛り上がる。
も部員と既に打ち解けていた。

食事の時間が終わり、自主練の時間になった。
「んじゃ、送ってくるから」
「おお、お疲れ」
「明日もよろしくなー」
と並んで自転車置き場へいき、家に向かって走り出す。
たった数日とは言え、慣れた夜道を並走する。
そして彼女の家まで来たので引き返そうとしたら「あ、ちょっと待って」と呼び止められた。
「?」
振り向くとが鞄の中をゴソゴソとしていて、中から赤と緑の袋を取り出した。
「いつも送って貰ってるからお礼を兼ねて」
「世話になってんの俺らの方だって」
「いや、だって。私を送りに来る時間は御幸は自主練出来ないんだし。あと2日マネ業あるから賄賂って事で」
「……んじゃ、ありがたく」
「あと、これ。背負える袋。走ってたら上下しちゃうだろうけど手で持つよりマシかなと思って」
「はっはっは。用意周到じゃん?」
「そんな事無いって。じゃあ、気を付けて戻ってね」
「ああ、じゃあな」
背負える袋にプレゼントを入れ、学校に戻って寮の部屋へ直行する。
まだ自主練時間だから誰も部屋にいないので、さっそく袋から中身を出して見る。
そこには【Merry Christmas 】と書かれたカードと、スポーツタオルが入っていた。
タオルは吸水性をあげるために今日洗濯してが最後のマネの日に使えるようにしよう。
カードは捨てる気にならず、机の引き出しにしまった。

2020/11/13

backnext

CONTACT

感想だけでなく、リクエストも受け付けています。 お返事は希望者はメール、お急ぎの内容はTwitter、その他はmemoにてさせていただいております。


Copyright © Secret Hotel

Template @ 空蝉

Secret Hotel