第四話
練習試合の対戦校である梟谷の美人&カワ系マネージャーさん達に、
マネージャー業のいろはを教えて貰った。
いやはや、アイス1本だと不足気味じゃね?ってくらい重労働だ。
そして初めて見る試合は・・・・・・正直凄かった。
音駒自体も全国を目指してるなんて。
バシッとスパイクを決めてくる梟谷に対し、拾って拾って繋ぐ音駒。
夜久先輩なんて私と身長さほど変わらない(禁句らしい)のに、あんな強い球を拾いまくる。
孤爪のトスとか、ブロック振りきったり何か凄いし。
あの山本さえ、それなりに格好良く見えた。
まあ、キャプテンは試合中でもあのニヤニヤ笑いだったけど。
なんとなく中途半端にマネージャー業しちゃいけないなって思えた。
練習試合なので一試合で終わる事は無かったが、点の取り合いのせいか二試合が限界だった。
それから電車に揺られながら皆で帰宅。
学校に戻ると遅くなるので、現地解散となった。
家が近い犬岡君と一緒に帰ったが、なんとなく小さい子と話してる印象だ。
「あ・・・」
自室のドアを開けた所で思い出した。
私はスマホを取り出して黒尾先輩に掛ける。
するとマナーモードを外し忘れてるのか、無機質な音声が聞こえて来た。
「もしもし、です。今日はお疲れ様でした。1つ疑問なんですが、あの血液「ピーッ」」
不快な音で留守電が切れた。
なのでもう1度掛けてみる。
「です。あの血液に例えるのは何でですか?今は血液サラサラかもしれないで「ピーッ」」
思わず片眉があがる。
そしてリダイヤル。
「です。ドロッドロの血液になってドロッドロの血液になったら詰まりますよね?」「ブチッ」
今度は先に切ってやった。
そしてリダイヤル。
「です。血管詰まったら血栓になって脳に酸素行かなくなりますよね?どうでしょう?」
言いたい事を要点に纏めて伝えたが、折り返しの電話がくる事は無かった。
翌日の朝、学校に向かっていると途中で苦笑いしてる黒尾先輩に遭遇。
「留守番電話にへんなメッセージ入れるのやめろ」
「純粋な疑問です」
「純粋なのか?」
「正しく言うなれば酸素を運ぶのってヘ赤血球でモグロビンですよね?」
「もしかしてお前・・・リケジョ(理系女子)?」
「どうでしょうか?」
「クロにそれを求めるの無理だから」
と、大きな体の向こうに孤爪がいた。
「あ、無理なんだ」
「何度も言ってるし」
「あーもしもし?俺、先輩って理解してくれてます?」
今日も平和な一日です。
2017/1/26