ここから始まる恋物語 第15話




「一也くん・・・どうしたの?」

「おいおい、汗びっしょりじゃねえか」

「すっげーニヤニヤしながら言わないでくれません?」

「楽しいんだから仕方ないだろ?」

金田課長のニヤニヤは止まらない。

そして一也くんは靴を脱いで「俺にもビール」と注文をして座敷に上がった。

バックからハンカチを取り出したけど「いや、良い」と断られた。

その代り金田課長がおしぼりを2本頼む。

「おしぼりで顔を拭くとか、オッサンだろ、御幸」

「誰のせいですか誰の」

「いや~~~まだ話してないんだってな?」

「金田さん!!!!」

「何かあるの?」

「いや、そうじゃなくて・・・」

「俺が言ってやろうか?」

「自分で言います」

「ここで?」

「家で」

「ここで言えよ」

「嫌ですよ。これ以上金田さん喜ばせるネタを提供すんのは」

「俺は一向にかまわない」

「俺がかまうんで」

、こんな男で良いの?」

「何がなんだか、さっぱりなんですけど」

、相手にしなくて良いから」

「あーーーそんな事言っても良いのかな~~~」

「いやいや、金田さんの事は尊敬してますから」

「心が籠って無い」

「そんな事ないですって」

「良いか?。御幸はな」

「わーわーわー聞こえなーい」

「お前に一目惚れだったんだぞ?」

「え?」

「・・・・・・・恨みますよ?」

金田課長は「かっかっかっ」と笑いながらジョッキを煽り、一也くんは机に突っ伏した。

隠れていない耳が赤いのは、部屋の明かりのせいだろうか?

「あー楽しかった。ここは奢ってやるから先に出るぞ」

そう言って金田課長は出て行った。

彼と入れ替わりに頼んだ料理が運ばれてくる。

「・・・・・・・・とりあえず話は帰ってからな」

「あ、うん」

運ばれてきた料理を食べ、お店を後にする。

そして手を繋いで電車に揺られながら家に帰った。




2017/09/15