ここから始まる恋物語 最終話





家に帰るまで、一也くんは無言だった。

靴を脱いで部屋に入ると腕を引かれてベッドまで移動した。

「どうしっ・・・」

ベッドの上に座らされ、背後から彼がぎゅっと抱きしめて来た。

「このまま聞いて」

顔を見られたくないのだろうか?

分からないけど彼の言う通りにしようと頷く。

そして彼はゆっくりと語り出した。



と最初に会ったのって、実は何年も前なんだよね。

契約とかの事で事務所に行った時、まだは入社したばっかで緊張しながらお茶を運んできたんだよ。

その時も可愛いなとは思ったんだけど。

で、しばらくして祝賀会か何かの時にが金田さんに何か届け物しにきたんだ。

その時ぶつかっちゃってさ。

先輩が持ってたビールがスーツに掛かって、それをはが拭いてくれたりしたんだ。

で、はそのまま端っこで料理食べてたんだけどさ・・・。

その時金田さんにの名前を聞いたんだよ。

けど金田さんに「男いるぞ」って言われてショックだったんだよなーマジで。

まあ、俺も1軍に 上がるか上がらないかだったし、そのままだったんだけど。

で、1年くらい前に金田さんが「、男と別れたぞ。どうする?」って。

どうするも何も無いけど話はしてみたいと思った。

そうしたら金田さんが「俺に任せろ」って、あの話になったんだよ。

話してみたら良いなって思った。

いきなり「ボリウッド」とか言われて驚いたけど。

でも自分の持ってない世界観を持ってて、流されない印象があった。

そのうち「ああ、やっぱ俺の目に狂いは無かったな」って思ったんだけど・・・

どんどん欲が沸いてきてさ。

好きだな~と思ったら止まらなくなってた。



「・・・・・・腕、緩めて?」

「ヤダ。絶対顔見るから。見られたくねえし」

「一也くんからの告白だよ?ちゃんと顔見て話したい」

すると渋々とはいえ、腕の力が緩んだ。

そして私もベッドに上がり込んで彼を見る。

大きな手で口元を隠し、横を向いて目を閉じている。

「好きだなー」

「え?」

「一也くんが」

「だから、どうしてそう可愛い事言うのかな・・・」

「え?可愛げないと思うんだけど」

「そんな事ありませんー。俺にはど真ん中にストレートなんですー」

そう言ってそっとベッドに押し倒された。

「1つ疑問なんだけど」

「何?」

「一也くんの友達とか」

「あーダメ。会わせたくない」

「理由聞いても良い?」

「・・・・・・・聞きたいの?」

「うん」

「はぁ・・・・・」

「言いたくない?」

「うん。格好悪いから」

「何で?」

「・・・・・・・絶対が一緒にいたら、デレた顔してる自覚あるから」

「え?」

「・・・・・・・格好悪いとか言うなよ?」

「そんな理由?」

「そんなって・・・俺にとっては重要」

「でも・・・んっ・・・・・」

「はい、お終い。これ以上格好悪い自分晒したくないから」

「格好悪くないのに」

「自分ではそうなの。絶対仲間内にはからかわれる。想像しただけでかなり凹んだからの事だけ感じさせて」

「意味わからないっ・・・あっ・・・」

もう少し話しをしたかったけど、本当に恥ずかしいらしい一也くんは喋らせないと言わんばかりにキスをしてくる。

だからまた別の機会に話せばいいかな?

きっと時間は沢山あるはずだから。

・・・・・・愛してる」

耳元で囁く彼の愛に、私は全てを任せる事にした。

彼の友人関係に会うのは、それからもう少し先の事。



2017/09/15