ここから始まる恋物語 第9話
「んっ・・・」
目が覚めると、腰の辺りに重みがあった。
ぐるりと後ろを向くと、眼鏡をしていない御幸さんがいた。
「あ・・・」
その瞬間、昨日の事を全て思いだした。
結局1度で終わらず、2度、3度と求められたのだった。
「うわっ!!!?」
「おはよう・・・」
「お、おはようございます・・・んっ・・・」
上半身を起こしていたのを元に戻され、あげく圧し掛かられてキスをされた。
深くなっていくキスを制して距離を取る。
「な、何でシャツを着て・・・」
「ん?ああ、シャワー浴びて寝たから」
「っ!!!?」
「ざっと体が拭ったけどシャワー浴びた方が良いよ」
「ぬぐっ!?でも私何も着てない」
「風邪ひかないように抱きしめといた」
「そういう問題じゃ!?」
「あ、バスルームそっちね」
「私の洋服は・・・」
「畳んでバスルーム置いといた」
「・・・・・・」
「昨日全部見たし、裸で歩いても気にならないし?むしろ嬉しいから」
「・・・・・・・・・」
「降参。はい、俺のシャツ」
そして渡されたのは新しいTシャツだった。
けれどこれを着ようとすれば結局胸が・・・
ごそごそと布団の中にもぐりこみ、なんとかTシャツを着る。
彼のサイズだと、お尻まで隠れる大きさだ。
そっとベッドから抜け出ると、背後からクスクス笑いが聞こえてくる。
バスルームに入る直前に彼を見ると、枕に頭を乗せてても私の方を見ていた。
初めて入るバスルーム。
脱衣所にタオルの入った棚があり、洗濯機があった。
私の洋服はそこに畳んで置いてある。
「下着にストッキングまで・・・」
物凄く恥ずかしくて思わずしゃがみこむ。
するとドアが2回ノックされた。
「俺が洗おうか?」
「遠慮します!!!!」
「タオルは使ったら洗濯機入れといて~」
と笑いながら言われた。
私は浴室に駆け込み、急いで体を洗う。
すると胸元にうっ血した箇所があった。
「う~~~~~」
ものすごーーーく恥ずかしい。
男性と体を重ねるのも、キスマークも初めてでは無い。
それなのに御幸さんにされる事が恥ずかしくて仕方ないのだ。
その理由が、私には分からなかった。
急いで洗って脱衣所に。
汚れた下着をまた身に着けるのはイヤだったけど無い袖は振れない。
洋服を着こんでバスルームを出る。
「あの、ドライヤーありますか?」
「あるよー」
ベッドに腰掛けてる彼が手招きをする。
そしてテーブルの脇に座らされた。
「時間無いからね。は食べてて、俺が乾かすから」
テーブルの上には健康補助食品のゼリーがあった。
「え?でも」
「いいから」
その途端にブオーンとドライヤーがうなりを上げた。
そして彼の指が私の髪を梳いて行く。
とりあえずゼリーを手にて蓋を開けて口を付ける。
シャワーとはいえ、温まった体に冷たいゼリーが気持ちいい。
うー・・・寝そう。
思わず瞼が閉じそうになった時、
「寝たらまた襲うよ?」
と耳元で囁かれてバッチリ目が覚めた。
2017/08/28