ここから始まる恋物語 第8話





付き合い始めてからも、一緒にご飯を食べて映画やドラマを一緒に観ていた。

けれどそろそろシーズンが開幕となる。

「夜に一緒にいられるのも、後少しか~」

プロ野球選手ともなると、ナイターが主になり夜遅くまで試合になる。

そうなると昼間仕事の私との接点は激減する。

「イチャイチャしたい」と豪語してたけどそれは本当の事らしく、何かにつけて抱きしめられる様になった。

映画を観ていても彼と必ず触れ合っているのだ。

「なあ、・・・・・・同棲しない?」

「それは遠慮します」

「えー?何で?」

「何でって・・・」

付き合って2週間は経つけど、まだそういう関係では無いのだ。

泊まった事すらない。

もし、そういう関係になったと仮定して、もし相性が悪かったら?

直ぐに飽きられたら立ち直れないかもしれない。

恋愛とは厄介なもので、問題が解決すると次の問題が浮上するのだ。

ふと見えた時計は帰る時間を示していた。

私はベッドから降りようとすると腕を掴まれた。

「あ、それじゃあ・・・」

「今日は泊まって欲しい」

「え?」

「俺と寝るのは嫌?」

「っ!!!!」

赤くなったであろう顔を見せたく無くて開いている方の手の甲で口元を覆う。

すると腕が引かれて彼に抱き着いてしまう。

けれど体がグラリと揺れてベッドに押し倒された。

「笑った顔も好きだけど、照れて赤くなってる顔も好きだよ」

「・・・・・・っ」

優しく微笑まれ、顔が近付いてくる。

そっと落とされるキスがなんだか照れくさくてしかたない。

徐々に深くなっていくキスを追いかけるだけで精一杯だ。

「すっげーエロい顔してる」

「・・・・・・」

「その顔で怒られても、煽られるだけなんだけど」

「・・・・・・・・・どんな顔すればいいのか分からないんですけど」

の色んな顔見せて」

「待って、シャワー」

「ごめん、それすら待てない」

ゴツゴツとした手が、柔らかな唇が私の体を撫でて高めていく。

彼に回した腕が、手が、彼の汗を感じる度に喜びが湧き上がって行く。

顎から伝う汗が私に落ちてくる。

それだけでも私のナカが快感を生み出していく。

「・・・はぁっ・・・くっ・・・・・・」

彼が達した瞬間、私の全てが満たされた気がした。




2017/08/24