ここから始まる恋物語 第7話





翌日、自分1人の頭じゃ処理しきれなくなって親友に電話をした。

かくかくしかじかなんだけど・・・と説明すれば、

「付き合えばいいじゃん」と軽く返って来た。

「何でそんなに軽いのよ!」

「今にオトコいないじゃん?だったら良いんじゃないの?」

「そうだけど・・・」

「逆に何が問題なの?」

「有名人と付き合った経験無いもんで」

「まあ、そうだけどさ。結婚してくれって訳じゃないんだし?嫌いじゃないんでしょ?」

「・・・・・・うん」

「不誠実っぽい感じなの?」

「うーん・・・多分違う」

「ならいいじゃん。とりあえずで始まって好きになれればさ」

「そうだけど・・・」

「はいはい決まり!上手く行ったら私にも他の選手紹介してよね」

と、親友のに対して苦笑いを返した。




そして金曜日のお昼、御幸さんからメッセージが届いた。

『仕事が終わる頃迎えに行くから』と。

退社時間になって会社を出ると、車に寄りかかる様にして立つ御幸さんがいた。

そして私の顔を見て、ほっとしたように息をついた。

「行こう」

いつもの様に助手席のドアが開けられ、そこに座る。

そして運転席に彼が座って車が走り出した。

普段通り他愛ない会話をしていると、高速に入った。

「どこか行くんですか?」

「ないしょ」

話をしている間に車は都内を抜けていく。

聞きなれない場所で高速から降りる。

そこは特別何もない所に思えた。

そのまま車が進むと、公園の様な場所に出て駐車場に入って行く。

「降りよう」

「はい」

車を降りた途端、頭上を「ごおぉ!」と言う音が通り抜けていく。

上を見上げると飛行機が通過して行った。

「うわーっ!!!」

「もう、そこが羽田空港なんだよ。行こう」

手を繋いで公園の中に入って行く。

土手を上った向こうに海があり、その向こうに建物が見えた。

「ねえ、ちゃん」

「はい?」

「俺と付き合ってください」

「・・・・・・どうして」

「好きだから」

「っ!!!?」

「ダメ?」

「でも」

「俺は別に有名人と付き合いたい訳じゃないし、ちゃんは十分可愛いと思う」

「なっ!?」

「それともちゃんは顔で彼氏選ぶの?俺ってその範囲に入るならそれでもいいけど」

「ちがっ!!」

「もしダメだとしたら、俺じゃダメな理由、納得するまで説明してね」

「・・・・・・」

一気にまくしたてる様に紡がれる言葉の数々。

肯定も否定もさせて貰えない。

「・・・・あはははっ!」

「え?変な事言った?」

「ちがっ・・・あはははっ」

何となく、御幸さんが可愛いと思えてしまった。

そんな私を見て、彼もいっしょになって笑った。

「返事、聞かせてくれる?」

「OKです」

「良かった~」

その瞬間、私は彼の腕の中にいた。

ドキドキするのに変わりはないけど、なんとなく安心も出来た。

だから彼を見上げて、彼を抱きしめ返した。



2017/08/15