02.頭をなでられる、嫌いじゃないが喜べない
子供の頃から知っていた一也に告白された。
苦労を感じさせない明るい子の印象は今も変わらない。
弟とは違うが、それに近しい感情は持っていた。
それを恋愛感情にするのは苦労するかと思われた。
憧れと恋愛は違うし。
一也のそれは「憧れ」の方だと思ってた。
少し付き合えばギャップの違いで諦めるかなと思ってた。
私が甘かった。
4つも年下なのに年齢差を感じさせない。
ぎゅっと抱きしめて守ってあげたいと思わせる体格は、
今では逆転してしまった。
私を抱きしめる腕は逞しく、鍛えられた体。
高めだった声だって甘くて色気のある声に変わってしまった。
キスする時に顔を上げるのも大変な身長。
今はまだ、体の関係は無い。
ドラフト会議があって球団が決まり、色々とバタバタしてるらしく会う時間が無い。
そんな中、時間を作って私が一人暮らしをするワンルームに一也が来た。
制服でもユニホームでも無い一也は、大人の男にしか見えない。
ご飯を作って洗い物をする。
終わって一也を見ると、テーブルとソファ代わりのベッドに体を預けて寝ていた。
眠っていると年相応というか、幼いと言うか・・・
そういえば眼鏡外した顔って誰も知らないんだっけ?
眼鏡を外してやろうか?
そう思ったけど疲れてるだろうからベッドの上からタオルケットを取る。
一也に掛けて私は隣にしゃがみこむ。
ん~・・・イケメンだよな。
何でこの子は私なんかが良いんだろう?
もっと綺麗な子だって可愛い子だ って選り 取り見取りだろうに。
「バカな子・・・」
クセのある髪を撫でる。
あの頃と変わらない柔らかい髪質してるな~。
いいな~日焼けしてるはずなのにサラサラだし。
「なにしてんの?」
言葉と共に体を引っ張られ、一也の上に横座りしてしまった。
少しだけ彼より目線が上になった。
「髪、痛んで無いね。何かしてる?」
「なんもしてねえよ」
「髪が強いんだ・・・良いな」
そして手を挙げて再び頭を撫でる。
サラサラだな~クルってして良いな。
そんな事を考えていたら、一也が何やらむくれてる。
「どうかした?」
「頭撫でられんのってガキっぽくね?」
「え?イヤだった?」
「イヤっつーか・・・」
「??」
「さん・・・そろそろ先に進んでいい?ちょっと限界」
「先に?どこ??」
「はぁ・・・・・・」
思いっきり溜息をつかれた。
すると体がふわっと浮き上がり、ベッドに降ろされる。
驚きで閉じた目を開けると、一也が私を押し倒していた。
「・・・・・・いい?」
一也の瞳が揺れている。
行動にためらいがあるのだろうか?
だけどその奥に揺らめく熱を感じた。
だから私は一也の頭を手繰り寄せ「いいよ」ってキスをした。
2016/8/22