01.いつまでも子供だと思ってるだろ(御幸視点)



子供の頃、弟の試合を見に来ていた4つ上のの姉ちゃん。

良く弟と喧嘩もしてたけど誰にでも平等だった。

兄弟も母親もいない俺でも特別扱いしたりしない人。

凄く居心地が良く、憧れていた。

中学は学区が違ったし、わざわざに聞くのもアレだし。

だから高校に入って驚いた。

夏大前に差し入れに来たさんは青道のマネだったらしい。

「お久しぶりです」

「え?一也?」

「そうですよー」

「いやん!大きくなったね~。前はこんな小さかったのに」

「チビでしたからね」

その後も大学の合間を縫って差し入れに来てくれていた。

だからと言って関係は何1つ変わらない。

転機が訪れたのは高3の秋。

秋大前に差し入れに来たさんを捕まえた時だ。

さん、彼氏いないでしょ」

「なんでそう言い切るのよ」

「いたら差し入れに来ないだろうし」

「いても来ますー」

「へぇ・・・。で?今は?」

「いなくて悪かったわね!」

「そりゃ好都合」

「人の不幸を・・・」

「俺と付き合ってください」

「え?」

「ダメ?」

「いやいやいやいや!私4つも上だし」

「知ってる」

「もっと若い子の方が」

「それじゃダメだし。さんが良い」

なんだかんだと理由を出してくるけど全部覆す。

「はぁ・・・分かった。お姉さんが面倒見ましょう」

言葉の無くなったさんが首を縦に振ってくれた。



2016/8/16