第六話

次の休みに紹介されたマンションを教授に紹介された大家さんと見に行く。

築10年のマンションは綺麗とは言えない外見だけど、中はリフォームされて綺麗なワンルーム。

教授の紹介と言うのもあり、値段も格安で借りられる事になった。

その事をお母様に報告して、引っ越す日にちを決めた。

「寂しくなるわね・・・。でも洋一は入り浸るんだろうけど」

「え?」

「この間洗濯物を洋一の部屋に持っていったら一緒に寝てたから」

「!!!!」

「本当なら一緒に住めば?って言いたいけど、やっぱり嫁入り前だものね。早く嫁に来て頂戴」

と笑顔で言われてしまった。

そして引越しは前の大家が手配してくれたのであっさり終わった。

とは言え何もやる事が無いわけじゃない。

箱詰めされた物を出し続けていると、スマートフォンが鳴った。

『今から何か買って行く』

今日は練習試合と言ってたのに。

何か買ってきてくれるのも助かる。

引越しの片付けだけで材料が何も無いから。

そして30分もしないうちに彼がお弁当を持って来た。

「ほら、引っ越し祝いだ」

渡されたコンビニの袋にはお弁当の他にもカップ麺や飲み物など色々入っていた。

それを温めて二人でテーブルで食べる。

「結構片付いてんじゃん」

「元々荷物が少ないからね」

「泊まって良い?」

「え?」

「・・・・・・」

「えっと・・・シングルベッドしかないんだけど」

「俺のベッドもシングルだったっつーの」

「えっと・・・良い、よ」

「おう。ほら、これも食え」
「そ、そんなに食べれないよ」

私のお弁当の上にから揚げが乗っかった。




ご飯を食べて先にお風呂に入ってベッドの用意をする。

シーツを掛けて上掛けにカバーを掛けて・・・・・・。

いや、なんか「これからシます!」って感じで嫌だな・・・

彼とする事が嫌なんじゃなくて!

なんかまたグルグルだ・・・

「なにしてんの?」

振り向くと上半身裸で首にタオルを掛けてる倉持がいた。

私の様な貧相な体じゃなくて鍛え抜かれた体が目に入る。

何も言わない私に彼の手が伸びてきて、思わず体が揺れる。

「・・・・・嫌なら何もしない。二人だけの時間が欲しいだけだし」

「ちがっ!」

「なら、手、出すぞ」

「え?まっ・・・・」

言うより先に倉持が近くなり、キスされる。

重ねるだけのキスから、口の中を探るようなキスまで。

キスに夢中になっていると、Tシャツの中に大きな手が入り込んで来た。

その手はゆっくり動いて、私の腰の辺りから上がっていく。

「んんっ・・・・・・」

「なあ・・・」

「ん?」

「初めて?」

「ちが・・・う・・・・」

「やっぱそうか・・・」

私の肩に額を乗せる。

「えっと・・・ごめん」
「いや、ん・・・まあ、仕方ない」

「でも・・・あっん・・・」

首筋を尖った舌が撫で上げる。

そして私と視線を合わせて「ニッ」と笑った。

「まあ、最後のオトコって事で?覚悟しとけよ」

それは卑屈からくるものでは無くて、自信が感じられた。

普段はやんちゃ坊主なのに・・・

「・・・・・・洋一、大好き」

「おまっ!ぜってえワザとやってるだろ!!」

真っ赤になった彼は私を抱き上げてベッドに乗せられた。

だから彼の首に腕を回して私からキスしてあげた。



2017/09/29

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