倉持視点
倉持「困ってたから助けた。それが切欠」
それだけ言ってジョッキに入ったビールを飲み干して新たなビールを注文する。
前園「それだけやないやろ!!!!」
御幸「やっぱり嫁姑って凄いの?」
白洲「今日連れてくるかと思った」
高校時代の仲間と集まるのも久しぶりだ。
大学を出て野球で会社に入った俺は今でも野球を続けている。
とりあえず飯は食っていけるし彼女にプロポーズをした。
だから今日は結婚式の手伝いをコイツらに頼む為もあって集まっている。
自分達だって彼女なり嫁なりがいるのに質問攻めだ。
渡辺「写真見せてよ」
ナベにそう言われたら断れないっつーか。
俺はポケットからスマートフォンを取り出して画面に触れる。
電気が点くのと同時に待ち受けにしているが浮かび上がる。
画像フォルダに触れると写真が出てくる。
(寝顔は見せられねえから・・・これか?こっちか?)
と選んでいたら手元から電話が消えた。
伊佐敷「これが倉持の嫁か?美人じゃねえか」
倉持「じゅ、純さん!?」
小湊「へぇ・・・倉持にしてはやるじゃん。ねえ、春市」
春市「綺麗な方ですね」
結城「幸せにな」
増子「うがっ」
倉持「って、先輩達まで!?」
伊佐敷「ゾノから聞いたんだよ。お姉さん、ビール5つ追加で」
倉持「マジっすか!?っていうか、俺のスマホ!?」
小湊「うん、そう。分からなかったら電話してくれて構わないよ」
倉持「あーー!亮さん何で俺のスマホで電話してんスか!?」
小湊「彼女を呼び出したからに決まってるよね」
倉持「はぁ!?」
伊佐敷「マジで来るって?」
小湊「外出先みたいで後20分くらいだって」
春市「アニキがすいません」
倉持「いや・・・・」
っていうか、無茶振りも変わんねえのかよ!!!!
とは言え、自分の為に忙しい中駆けつけてくれたのだ。
有難いし嬉しい気持ちでいっぱいだ。
伊佐敷「良いから倉持も飲め!」
倉持「ヒャハハ!!純さんの奢りっすよね」
伊佐敷「サラリーマンの俺が払える訳ねえだろ!哲だ、哲!」
結城「ん?」
と言われて座敷の真ん中に拉致された。
そこから野球トークになり、プロに行った御幸や哲さんの話しで盛り上がる。
小湊「はい、注目。お姫様が到着したよ」
「こ、こんばんは」
と、亮さんの隣にがいた。
そしてあちこちに挨拶をしながら俺の隣に腰を下ろした。
けれどゆっくり話す暇なんて貰えるわけがなかった。
最寄り駅から二人で住んでいるマンションまで手を繋いで歩く。
「今日大丈夫だったのか?」
「ああ、達だし。大丈夫大丈夫」
「まさか亮さんが電話するとは思わなくてさ」
「ふふふ・・・愛されてるね」
「そうか~?」
「小湊さんね、忙しいヤツラが二人を祝いたいから来れたら来て欲しいって言ったんだよ」
「え?」
「洋一から仲間の中にプロに行った人達がいるって聞いてたけど、生で見れちゃった」
と、隣でクスクスと笑っている。
笑っているのだから謝る必要はねえな。
このままずっと、笑っていて欲しい。
「そういえば御幸と良く話してたな。何話してたんだ?」
「えっ!?あー洋一の高校時代の事とかだよ」
「ふーん」
この時のの怪しい態度は結婚式当日、二次会の時に分かる。
「今日はおめでとうございます」
倉持「かっ・・・かっ・・・かずっ!!!?」
伊佐敷「からすか?」
結城「言葉にならない、だな」
小湊「そりゃ憧れの人が目の前にいればね~」
伊佐敷「俺らもサイン貰おうぜ!」
増子「うがっ!!!!」
そこにいたのは俺が子供の頃から憧れた人物で。
その人が俺達に祝辞を・・・・・・・
御幸「嫁さんに頼まれて哲さんとか皆で頼みに行ったんだよ」
倉持「え?が?」
御幸「お前の部屋に飾られてた人物に会えないかって」
倉持「・・・・・・」
結城「良かったな」
御幸「大変だったけどな」
倉持「哲さん、御幸・・・」
結城「お礼は奥方に言え」
倉持「ーーー!!!!絶対幸せにするからなーーー!!!!」
友達と話してるが振り向いて、今まで一番綺麗に笑った。
2017/10/04