第一話



クソ暑い体育館。

自分よりデカイ男が目の前に並んでいる。

「えー・・・2年1組のです。不束者ですがよろしくお願いします」

(((((不束者って・・・)))))

そして体育館に拍手が響いた。

事の起こりを回想しよう。




・・・・・・」

9月の始業式が終わり、午前中で帰れる貴重な日。

私は友達と喋りながら帰りの準備をしていた。

そこに現れたのが同じクラスの山本。

私の座っている席の横に立ったかと思ったら、勢いよく土下座してきた。

「頼む!一生のお願いだ!!マネージャーやってくれ!!!!!」

「は?」

「もう、お前しか頼れる人物がいないんだーーーーー!!!!!!」

「寝言は寝てから言え」

私は鞄を持ち、友達と教室を後にしようとした。

なぜ「した」のかと言えば、足に山本が絡みついたから。

「ちょっと!」

「本当に頼む!張り合えるのはしかいない!!!!!」

「張り合う?そもそも何でマネージャーなのよ」

「音駒にはいないからだ」

「例え私がマネージャーになったとしてよ?役に立つワケ無いじゃん」

「そんな事はない!いるだけでも励みになる!!」

「私にメリットが何もない」

「良し、毎日お前が好きなガリ○リ君アイスを奢ろう」

「真冬は寒いからいらん」

「・・・・・・冬は肉まんでどうだ!」

「あんまんの方が好き」

「じゃあ、あんまんで!」

「一番好きなのはピザまん」

「じゃあそれで!!!!!!」

、あんたも安上がりだね」

「山本にハーゲン奢れる甲斐性あると思う?」

「あー・・・無いわ」

「優しいよな、私。というか女神じゃん?」

「「魔女だろ」」




と、まあ、こんな感じだ。

「俺は主将の黒尾鉄朗。何でまたこんな時期に?」

「山本が土下座して泣きついてきたんで」

「へぇ・・・泣いたんだ?」

「泣いてませんよ!!!」

「訂正します、半泣きです」

「「「「「ぶははははっ」」」」」

「てっきり山本に奇跡的な彼女でも出来たのかと思った」

「はぁ・・・アウトかセーフかでいったらぎりぎりアウトですけど」

「「「「「ぶはははははっ!!!!!!」」」」」

「ほれほれ、笑ってないで練習しろ。は1年に仕事教わって」

「わかりました」

こうして、マネージャー生活1日目が始まった。



2016/9/9