STORM LOVER
愛しあったその後
久しぶりに会った彼女を、自分の欲のままに抱いた。
抱いて抱いて抱き潰し、気が付けば彼女は気を失う様に眠りについた。
「……」
汗で顔に張り付いている髪を耳に掛けると、薄暗い中でも俺の好きな顔が見える。
すんげー美人でも無いし可愛いって訳じゃないけど、俺にとっては世界で一番綺麗で可愛い存在だ。
高校からの付き合いでもうかなり長い時間を一緒にいるけど、飽きる事なんて全くない。
毎日毎日違う顔を見せてくれる。
目つきも口も悪い俺に嫌な顔なんかしないし、むしろ隣でニコニコと笑ってくれてる事が俺にとっては最高の出来事。
「そうさせてるのは恭介なのに」っては言うけど、そんな自覚なんてまったく持てない。
俺の料理を褒めてくれるけど、絶対にプロが作った方が美味いと思う。
それでも「恭介しか持ってない愛情ってスパイスのせいかな?」とかクサイ台詞を言ったりする。
「料理も洗濯も掃除も恭介の方がうまいよね」って落ち込んだ時もあったけど、
「が淹れてくれるコーヒーに勝るものは無いよ」って言えば満面の笑みで「私専用スパイスがあった」と笑う。
卑屈にならず、素直に言葉を受け答えする彼女が本当に愛おしいんだ。
そんな彼女の寝顔を見てたら、眠気が飛んで行った。
「……ちっ、かったりぃ」
俺はベッドを抜け出てシャワーを浴びにバスルームへ向かった。
風呂から上がって冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出し、寝室に向かう。
はさっきと同じ格好のまま、寝返りすらうってない。
ゆっくりと片足をベッドに乗せて腰かけ、キャップを開けて水で喉を潤す。
「……ふぅ」「……ん」
声が聞こえてを見ると瞼がピクピクと動いて、ゆっくりと持ち上がる瞼から双眸が現れた。
「……あっ……きょ……ん……」
「ああ、悪い。ちょい待って」
俺はミネラルウォーターを口にして、そのままへと口移しをする。
喉がガラガラなのか、声になっていなかった。
そうさせたのが自分だと言う自責の念と、優越感がせめぎあう。
「……もっと」
強請られるままに水を飲ませると「もう!自分で飲んだ方が早いのにっ!」って怒られた。
「いいじゃん、キスする口実になって」
「ちょっ…ずるっ…んっ……」
まだ反抗する様な事を言うから、キスで無理矢理封じ込めてみる。
文句を言ってても、こうして受け入れてくれるに安堵する。
「ちょっ!プロボクサーと同じ肺活量じゃないんだから!」
「悪ぃ悪ぃ」
彼女の隣に潜り込み、腰に手を添えると「もうダメだからね」とくぎを刺された。
「何で分かった?」
「そりゃあ、長い付き合いだし。はい、もう寝る!」
は目を閉じて俺にくっつくようにしで抱き着いてくる。
胸が当たって余計その気になるのに……って言ったら俺直伝のストレートでボディを殴られそうだから言わねぇけど。
だから素直に言うとおりに眠りにつこうと、彼女を抱き寄せた。
2019/02/08