ダイヤのA

御幸一也

best friend

『○○日にいつもの店で!絶対!!!』

鳴から届いたメール。

まあ、いつもの事だけど。

暇だし鳴をからかうのも楽しそうだ。

そして当日、俺は店に向かった。

「え?」

「は?」

案内された席で待っていると、女の人が俺を見て声を上げた。

その意味が分からず俺も声を上げた。

「ほらー!言った通りでしょ!」

「いや~びっくりだ」

そして鳴と彼女は俺の向かい側の席に腰を下ろす。

紹介も無しに二人で言い合いながらオーダーしていく鳴。

そして飲み物が来て、やっと俺と向き合った。

「彼女は同じ大学の。俺の事をことごとくフってくるんだよ、信じられる!?」

「だから鳴はタイプじゃないんだって」

「絶対俺ってお買い得だよ?好みが一也なんて趣味悪すぎ!」

「この写真の中でって制限のある中での回答だし」

「おいおい、本人目の前にして言うか?普通」

「普通なんて知らないしー。だから本物見せて一也の悪いトコ見せてやろうと思って」

「鳴って非常識だよね」

「だよな。俺より質が悪い」

「はあ?何言っちゃってんの!?」

「改めてです。今日は巻き込んでしまって申し訳ない」

「巻き込んだのは鳴だろ」

「巻き込んでないしー。で、一也より俺の方が良いってわかった?」

「分かるワケないでしょ。」

「何で!?」

「分かる人がいたら、その人も鳴と同類だわ」

と、ぎゃあぎゃあしてる二人。

傍から見てれば姉と弟の喧嘩みたいな。

何だかよく分からないけど・・・・・・二人の会話の内容からすると。

彼女に鳴が何度も告白したけどフラれ、

雑誌かなんかから誰が好みかを聞けば俺とあったらしい。

で、俺の性格の悪さを知らしめる(失礼な話)為に今日がある、と。

「一也の腹の中なんて真黒なんだからね!」

捨て台詞を残して席を立つ鳴。

向かった方向からすればトイレのようだ。

「仲が良いね、鳴と」

「良いでしょ?」と満面の笑み。

「何で付き合わないの?将来性で言っても良いと思うけど」

「鳴とは長い付き合いになると思う。というか、したい。

 でもそれは男女の仲ではないんだよね~。鳴とキスしたりとか無理だし」

「へえ?何で??」

「ん~~~家族愛に近いのかな?」

「ふーん・・・じゃあ、俺とは?」

彼女の目が一瞬開かれたが、ふふっと笑われた。

「それはそれで無理かな?イケメンすぎて緊張して息止めちゃいそうだし」

「なんの話してんの」

鳴が俺を睨みながら再び彼女の隣に座る。

「ん?鳴が可愛いな~って」

「あーーー!また子供扱いしたーーー!!」

「あははは、ごめんごめん」

兎に角この二人は仲が良い。

確かに姉と弟にしか見えない。

さんもさんで鳴を特別扱いしていない。

彼女は野球に興味が無い様だった。

グラスを煽っていると彼女の視線が俺に向いた。

「あ、御幸さん」

「・・・ん?」

「一緒に写メして貰って良いですか?」

「良いけど」

「やった!鳴、写メって!!」

「なんで俺がそんな事しなきゃいけないの!」

「連れて来た鳴の責任」

「ブーブー」

鳴にスマホを渡し、そして俺の隣に彼女が移動してきた。

「それじゃあ行くよ~。はいちー・・・!!!!!」

「!!!!!」

シャッター音が鳴る前に、彼女の唇を塞ぐ。

その気持ちよさに角度を変えて更に重ね合わせる。

「んっ・・・」

彼女の甘い声が俺の何かを刺激した。

なんかこの子、良いな。

「あーーーー一也!!!dfghじょkr」

「はっはっはっ。鳴、声になってねえよ」

鳴が言葉にならない事を発していて思わず笑ってしまう。

彼女は隣で手で口を隠すようにして赤くなっている。

「キス、出来たじゃん?」

驚いた彼女の顔が再び笑顔に。

「今度は鳴抜きの二人で会わない?」

「え?」

「連絡先教えてよ」

「いや・・・」

「今更だけど、気に入った子にしかキスしねえし」

そして彼女と連絡先を交換し、1か月後に俺の彼女になりました。

あれから鳴から苦情メールも止まらないから拒否にしといた。


2016/4/19