ダイヤのA
苔薔薇 後編
御幸視点
高校一年が終わろうとしてるバレンタインにに告白された。
前期の委員会が同じだったから彼女の事は知ってたし、真面目な部類に入る彼女。
野球の事は知らないのか、彼女との会話は日常的な学校生活の事。
と言っても委員会で話す程度から詳しくはない。
そんな彼女からの意外な告白を受けたのは、そんな彼女だからというのもあるけど『彼女がいる』って響きにも惹かれたからかもしれない。
毎日では無いけどメールのやり取りをして、たまたま出来た休みに野球道具を買いに行くのについてきた彼女と別れ際にキスをした。
クラスが変わってからもメールでのやり取りは時々してて、部長になってしばらくして彼女から別れたいと告げられた。
そのころ丁度部内で揉めてた時だったし、彼女の相手をする余裕も無かったから承諾した。
それから卒業して、プロ野球界入りして、それなりに彼女もいたけれど長続きはしなかった。
だいたいは高級料理店に行きたいとか、あれが欲しいとか、俺の見てくれや肩書欲しさの女ばっかりだった。
そのせいか、時々思い出すのはの事だった。
そして去年行われた同窓会で彼女と再会する。
別れの気まずさも無く会話が出来た。
それから連絡先を交換して何度か皆で飲みに行ったりしていた。
高校の頃よりも綺麗になってた彼女。
きっと俺と別れてから彼氏が出来て、良い恋愛をしてきたんだろうな。
お互い恋人がいないなら付き合わないか?と軽い気持ちで話を持ち掛けると、彼女はそれをOKした。
最初は昔の償いも含んでいた。
けれど次第に気持ちは変わっていく。
切欠となったのは待ち合わせの駅で彼女が大学時代の同級生だという男と話してるのを見た時だった。
湧き上がってきたのは独占欲・嫉妬。
もうキスだけでなんて抑えられない感情。
彼女を抱くのであれば安っぽいホテルなんかじゃなく、独占できる場所が良かった。
だからこそ自分の誕生日にかこつけて前の日から泊りに来る様に言った。
そして誕生日に「じゃあ、また」なんて別れの言葉も言いたくないから無理を通した。
けれどそれを彼女は快諾してくれただけで最高の誕生日になると思えた。
待ち合わせをした土曜の午後、数日は家から出ないで済むだけの食材を買い込んで家に帰る。
2人で並んでキッチンに立って食事を作る。
他愛もない会話をしながら軽くアルコールも。
テレビのバラエティー番組に笑いあっていると、風呂のタイマーが終了の合図を知らせてくれる。
その瞬間から彼女が緊張に包まれるのが分かった。
俺がどういう意図をもって家に呼んだかも理解してくれてるのも。
先に風呂に入って汚れの最終チェック。
普段から掃除はしてるから特に気にする場所は無し。
彼女のタオルとドライヤーを用意して、バスルームから出る。
そこにはガッチガチに緊張してるがいた。
風呂場の説明を終えて部屋に戻る。
断られない限りこれから彼女とベッドインする為にベッドメイキングをして避妊具を取りやすい場所に隠す。
なんだか緊張してきた。
と付き合いだしてからご無沙汰だったセックス。
今までの彼女にだって感じたことが無い緊張感。
のがうつったか?
それより彼女を満足させることが出来るのか?
女は女で前の彼女の存在や体形を比べるけど、男は男の悩みがある。
前戯で満足させられるのか?俺のモノは前の男と比べてどうなんだ?とか。
馬鹿馬鹿しい考えをしていると、バスルームからドライヤーの音が聞こえて来た。
そろそろ彼女が出てくる……
気持ちを落ち着けようとしてキッチンに行って冷たい水で顔を洗う。
それから冷蔵庫の中のミネラルウォーターを出して半分くらい一気に飲む。
そうこうしているうちに彼女がバスルームから自分が持ってきたパジャマを着て出て来た。
どうせ脱がすんだからタオルを巻いただけでも良いのになんて邪な考えを蹴散らす様に彼女に水を渡す。
近くに寄って来た彼女から、自分と同じボディーソープの匂いがして理性の半分が打ち砕かれた。
彼女をベッドに運び、唇を貪る。
この先に進んで良いかと問いかければキスで返事が戻って来た。
それは俺の残り半分の理性を砕くのに十分で、彼女の全身にキスをする。
くすぐったそうに体を捻る姿、快楽に濡れる瞳、熱い吐息全てが愛おしくて我武者羅に突き上げる。
自分が与える快楽に悶える彼女の姿に更に欲情し、自分の汗と彼女の汗がないまぜになる。
そして途中で日付が変わり、から「誕生日おめでとう」を言われる。
惚れた女と1つになったままで迎える誕生日。
果てても湧き上がる欲情のままに、彼女が気を失うまで抱き続けた。
翌朝目が覚めると、隣でが俺に背を向けて静かな寝息を立てて眠っている。
わざと遮光にしていないカーテンから降り注ぐ朝日が彼女の寝顔を照らしている。
むき出しの肩に触れればひんやりしていて、そこにキスをする。
するとが仰向けになったのを良いことにキスをする。
けれどまだ起きない。
むくむくと湧き上がる悪戯心。
人差し指を彼女の唇に当て、ゆっくりと2度叩く。
起きないのを良い事に指を顎へと滑らせ、そのまま首筋から鎖骨の間を通る。
柔らかな感触に指を這わせてもは起きない。
ならばと布団を捲り、柔らかな丘の頂上へと指を這わせる。
「ん……」
起きたのかと思えば顔を横に背けただけの様だ。
だから指を頂きのまわりをゆっくりと撫でる。
「んっ…」
尖ってた頂きをゆっくりと捏ねる様にすると、の顔が俺の方を向いた。
その額にキスをして、掌でゆっくりと丘を包み込む。
力を入れる指に合わせて形を変える胸。
そのまま体のラインをなぞって、へそよりさらに下の茂みに手をやると、昨日の情事のまま眠ったためかしっとりとしていた。
「んっ…なに……あっ」
「おはよう」
彼女の唇にキスをすると同時に、ゆうべ何度も俺を受け入れてくれた場所へ指を入れる
「ちょっ…んっ……」
「ごめん、我慢できないや」
彼女のナカから指を引き抜き、既に臨戦態勢になっているソレに被せる。
「え?まって…あぁっ……」
彼女の足を抱え込んで、寝起きの彼女を抱いた。
それからも一日中彼女を抱きしめて最高の誕生日が終わろうとしていた。
2019/11/15