ハイキュー!!

黒尾鉄朗

夏とプールと恋人と

「今度のデートはプールに行きませんか?」

休み時間に次の授業の準備をしていると恋人である黒尾鉄朗が机の前にしゃがみこんだ。

付き合って半年になる鉄朗が敬語で喋る時は危険がある。

頬杖をついてジーっと彼を見るけど、ニヤニヤした顔は変わらない。

「見つめるほど良い男?」

「寝言は寝てから言わないと夜久に蹴飛ばされるよ?」

「何でそこで夜っ久んなのかな?」

「夜久は私のマブダチ」

「なにそれ、ちょっとジェラっちゃいそうなんだけど」

「鉄朗とは別れたらそれっきりだけど、夜久とはあの世でもマブダチだから」

「意味わかんないデス」

「理解して欲しいと思ってないけど・・・なんでプール?」

「夏のカップルがするベタなヤツだから」

「鉄朗って乙女より乙女な時があるよね」

まあ、そういうやり取りがあり、区民プールにきました。

夏休み早々の平日でも人が多い。

「イモ洗い」

「はいはい。文句は良いから着替えておいで」

待ち合わせ場所を決め、ロッカールームに向かう。

室内は湿気の多さからサウナ状態だ。

開いてるロッカーを見つけ、着ている物を入れていく。

取り出したビキニは、去年友達と一緒に出掛けるのに買ったものだ。

中学の頃からバスケット部にいたので、お腹周りの心配はあまりない。

けれど胸が・・・・・。

決して小さくは無いけど大きくも無い中途半端なサイズ。

鉄朗の大きな手からしたら小さいんだけど・・・・・・

荷物をロッカーに突っ込んで鍵を掛けた。

プール側からロッカールームを出ると、すでに鉄朗がいた。

声を掛けるより前に私に気付いた鉄朗が近寄ってくる。

「・・・・・・・」

「な、なに」

「いや?行こうか」

そう言って私と手を繋ぎ、プールの方へ歩く。

いや、まあ・・・ちょっと前に全部見てるし?水着くらい?

でもでも恥ずかしいのに変わりはない訳で。

なんとなく鉄朗の手をぎゅっと握った。

準備運動をして流れるプールに入る。

子供も入れる様に浅いけど、後ろからの体当たりで足を滑らせてしまった。

「うわっ!」「っと」

さっと腰を抱かれて引き寄せられる。

けれど鼻に入った水は待ってくれない。

「うっ・・・くしゅん!!」

鼻を垂らした姿なんて見せたくないから片手で覆って体を乗り出してプールサイドに手を伸ばして反対の手で水を掛けて流す。

・・・・・・・・あれ?

私の腕の間に鉄朗の頭がある。

「うわっ!!!!」

思わず手を肩について距離を取る。

見えた顔はニヤケ顔だ。

「ちょっ・・・なに?」

「いや、想像以上だなって」

「想像?」

とイチャつければいいなーって思ってたけど、しょっぱなから密着出来たなーって」

そう言いながら私を抱きしめる腕が両腕になって力が入った。

真正面から向き合う形は、物凄く恥ずかしい!!!!

「なっ!?」

「真っ赤になって可愛い」

「鉄朗!!!!」

「でも、ちょっと自分が子供な事が残念だわ」

「は?なに」

「ぜったいホテルのプールとかならチューしたりしても平気そうだけど、ここじゃ雰囲気もクソも無いわー・・・」

確かに周りは子供の声がしっ放しで良い雰囲気にもなれない。

けれど一緒にいたいと思ってくれてたのが嬉しい。

私は顔を寄せて行き、鉄朗の頬にキスをした。

「・・・・・・」

「・・・・・・なに?」

「帰ろっか」

「来たばっかりじゃん」

に煽られたのでイチャイチャしに帰りたいです」

「え?煽ってないし!」

「はい、むーりー」

「せっかくのプール楽しみたい!」

私は鉄朗の腕から抜け出し、子供に紛れながら流れに乗る。

それを追いかける鉄朗。

けれど子供が多くて上手く行かなくて、結局制限時間である2時間近くプール遊びを楽しんで鉄朗の家に行った。

「あ、水着の後がついてる」

「え?」

「これはこれでエロいな・・・」

「ちょっと!」

「はいはい、ちゃんと気持ちよくしますよー」

その言葉通り、鉄朗にメロメロにされました。



2017/07/21