ハイキュー!!

黒尾鉄朗

貴方の形に浮かぶ闇

「あ~~~もう!先生のバカ~~~!」

2学期の最終日ともなると、先生方も受験生の相手でてんやわんやだ。

先生も大変かもしれないけど、教えて貰う側にも1日24時間というものに変わりはない。

見て貰えたと思ったら「ここはこうした方がいい」とか「これじゃあ感想文だぞ」とか言われて直していたら野球部やサッカー部の練習が終わったのかグラウンドは真っ暗。

校舎だって明かりがついてるのは少数で、私のクラスは真っ暗だ。

かろうじて明るい廊下を通って電気の消えた教室に入り、バスで帰るか歩いて帰るか悩みながら荷物を纏める。

「まだ残ってたのかよ」「ひゃぁっ!?」

声の方を見るとツンツン頭の人物が立っていた。

「なんだ……黒尾か」なんて残念そうに言ったけど、本当は嬉しくて仕方ない。

なんせ高校1年の頃から密かに片想いしてる相手だ。

「なんだとは失礼だな」

そう言いながらもこのクソ寒い中を半袖Tシャツで歩いてくる彼に「黒尾こそまだ部活?」と尋ねると「まあね」と返って来た。

彼が近づくにつれ、私に影が覆いかぶさる。

「どうしたの?」

「もうすぐクリスマスですよ」

「そうですね。でも受験生はクルシミマスだし。黒尾も大会控えてるんでしょ?」

「そうなんだけど。クルシミマスはイヤだな~」

「そりゃそうだ」

「だからね、チャン」

「……な、なに?」

「ボクにプレゼントくれませんか」

「え?持ってないけど?」

チャンで良いんだけど」

「…………は?」

「たっぷり考えてそれかい」

「だって言ってる意味わかんないし」

「うん、まあ、そのニブさも好きなんだけどね」

「ニブいって失礼……え?」

「だから、ボクとお付き合いしませんか?」

「……………え?」

一生懸命頭の中で計算をする。

え?黒尾はなんて言った?好き?お付き合い?突っつきあいじゃなく?

「突っつきあってどうすんのさ」

「え?エスパー?」

「口に出してたんだけど」

「え?やだ」

「ああ~~~もう!こういう事!」

後頭部が大きな掌で包まれたと思ったら机に押し倒され(痛くないけど)たと思ったら大きな影が覆いかぶさってきた。

こわっ!と思った瞬間に唇に温かい感触が……

それがキスだと分かったのは数秒後だろうけど数分にも数時間にも感じられた。

唇が離れて黒尾の真剣な顔が見えたと思ったら「好きだ」と低い声が耳を震わせた。

「……私も……好き」

「知ってたけどね」

「え?」

「もう一回」

そして再び、そっと唇が重なった。


2021.12.09