ハイキュー!!
肩ズン
小春日和の今日、親友であるの結婚式が行われる。
午後一番から始まる式に出る為に、朝一から美容院に駆け込んだ。
髪を纏めて貰い、化粧もして貰った。
ネイルとエステは前の日に行ってきたし。
美容院を出て、会場となるホテルへと向かった。
控室で着替えをさせて貰い、荷物を預ける。
そして二人の式の入り口に設置された受付に向かう。
そこにはのお母さんがいて、色々説明してくれた。
「それじゃあ、ちゃん、お願いね」
「分かりました」
とりあえず自分の分の記帳を済ませ、用意された席に着く。
すると影が出来て顔を上げると黒尾さんがいた。
「気合入ってるねぇ」
「そりゃあそうですよ。親友の結婚式なんですから」
「あれ?男捕まえにきたんじゃないの?」
「違います!!」
この黒尾さんと言うのは新郎である夜久衛輔さんの友人らしい。
私達は二次会の幹事を任されたので、一足先に顔合わせをしているのだ。
夜久さんとは違ってかなりの長身だ。
そしていつもニヤって笑う。
小馬鹿にしてるのかと思えば単にからかうのが楽しい感じがする。
それはそれで厄介なんだけど。
二次会の事で何度か連絡を取り合ったり会う事があったけど、
かなり細かい気配りの出来る人だった。
にも言ってないけど、ちょっと良いなって思ってる。
時間になると次々と人が集まって来た。
見た事の無い人もいれば、顔見知りまで様々な人が。
とりあえず黒尾さんとご祝儀の金額を合わせていると、式が始まった様だ。
幹事をしてるので少し遅れての参列になったけど、式はとても素敵なものになった。
式と披露宴の様子は説明したら長くなるから割愛。
二次会も終わって、どれもこれもが楽しくて素敵な式だった。
新婚夫婦に加え、新郎のかつての仲間の面々と一緒に三次会に来た。
「「「かんぱーい!!」」」
「いや~~~美味いっすね~」
「さんも黒尾さんもやっとまともに飲めますね」
「はい、クロ用」
彼の前に置かれたピッチャー。
わーわー騒ぎながらも、結局空になってしまった。
「、本当にありがとうね」
「私の方こそ!素敵なお式だったよー!チャペルの椅子にあった・・・え?」
「あれま・・・」
「Zzz・・・」
と話をしていたら、肩に重みが。
それは隣に座っていた黒尾さんで、私の肩で寝ている。
「あー・・・疲れたんだな」
「仕事が忙しいって言ってたのに幹事引き受けてくれたしね」
「ちゃんの肩で寝てるってのがまたな!!」
「田中・・・・・・醜い嫉妬はイケてないぞ?」
「や、夜久さん結婚したからって・・・」
ギャーギャーと盛り上がるメンバー。
この煩い中で良く眠れるな・・・
「、それ重くない?」
「とりあえず後ろの壁に寄りかかってるから大丈夫」
畳の上とはいえ、ここは居酒屋で狭い。
彼の様な巨体を寝かせるスペースも無い。
とりあえず黒尾さんの隣に座る孤爪君に話しかける。
「あの黒尾さんの上着、掛けてあげてくれませんか?」
「ん?・・・必要ないよ」
「え?でも」
「気にしないで大丈夫。万が一にもこれで風邪ひいたら喜ぶから」
「え?喜ぶ?」
「さんは気にしないでいいよ。ほら、食べないと食いっぱぐれる」
そう言いながら焼鳥の皿を差し出してくれる。
なので私はそこから一本取り、口に運んだ。
それからしばらくして、誰かがお金を集めだし、帰りの準備が進められていく。
「さてと、それじゃあ帰ろうか」
「そうだねー。あ、黒尾さん起こさないと」
「クロなら一度も寝てないよ」
「え?」
「ネタバレすんな」
「今まで黙っててあげたじゃん」
「は?」
「やっぱりな。行くぞ、」
「さん、ちゃんとクロに送って貰いなよ。バイバイ」
そうしてドンドン置いて行かれ、気付けば頭をポリポリしてる黒尾さんが残された。
「んじゃ、帰ろっか」
上着をはおって店の外へ出て駅に向かって歩く。
「荷物持つよ」
「大丈夫ですよ。黒尾さんだって引き出物持ってるじゃないですか」
「ボクが優しいのはいつもの事ですから」
「そうですね。あ、黒尾さん体調は大丈夫ですか?」
「ダイジョウブです。というか、研磨の話し聞いてたよね?」
「なんの話ですか?」
「ちゃん、オニイさん心配になってきました」
「黒尾さんって年上んだったんですか?」
「そうじゃなくて。えー」
ゴホン、あーんっんっ・・・
喉を押さえながらわざとらしい咳払いなどをして、私の正面に立った。
「さん、俺とお付き合いしませんか」
「え?」
「いや~一目惚れだったんだよね~。で、一緒に幹事やったりして、俺の目に狂いはないって思えたし」
「・・・・・・」
「もしもし?聞いてる?」
「き、聞いてる・・・」
「で?どう?」
「えっと・・・・・・はい」
「それってどっちの答え?」
「私も…気になってたので」
「・・・・・・・・・」
「黒尾さん?」
「このまま連れ帰ったらダメ?」
「え?」
「すっげ~可愛すぎてイチャイチャしたいんだけど」
「あ、あの」
「着替え、持ってるんでショ?」
「え?」
「あ、即物的より、ムッツリのが良い?」
「へ?いや、あの」
「あーーー!ダメだ」
と言ってまた私の肩に頭を乗せて来た。
「く、黒尾さん?」
「ちゃんの肩って落ち着くというか興奮すると言うか・・・」
そう言いながら抱きしめられる。
「え?」
「よし。やっぱり帰ろう。で、イチャイチャする」
「あ、え?」
「ノーとは言わせない」
耳元で低い声が囁く。
その声に煽られるかの様に私の中の何かに火がともる。
首筋を軽く吸われ「良いよな」と囁いてくる。
「OKだとしても尻軽だと思わないでくれる?」
「俺だけが相手だったら大歓迎。んじゃ、行くか」
そして恋人繋ぎをして歩き出した。
2017.04.27