ハイキュー!!
甘い熱だけ残して
黒尾鉄朗と言う男は食えない男だ。
私と彼との関係と言えば友人・・・いや、キス友?なのだろうか。
高校が同じで、気付けば大学も同じ。
特別接点があった訳でも無い。
高校生の時、ふと彼と視線が合ったのが始まり。
次に会った時は空き教室に引っ張って行かれ、キスされた。
最初は驚いたけどイヤでは無かった。
回数を重ねる毎に余裕が出来てきてた。
正直、歴代の彼氏とするより気持ちが良い。
大学に入った今では、互いの腕が互いの体に巻きつき、舌を絡め合うキスをする。
それでも彼は何も言わないし、私も何も言わない。
毎回毎回甘い熱だけ残して無言で去って行く。
一度、彼の事を調べてみようかと思ったけど止めた。
なんか癪に障る。
ニヤニヤ顔のアイツの鼻っ柱折ってやりたい!
そして今日、向こうからアイツが歩いて来た。
相変わらずニヤニヤした顔だ。
だけど今日はいつもと違った。
私もアイツも友達が一緒だったから。
もう少しですれ違うと言う時に、腕を掴まれた。
「ねえチャン、キスしたいんだけど」
周りでは黄色い悲鳴が上がる。
アイツの友達もギョッとした顔をしている。
この野郎・・・
「いいよ」
私は彼の首に腕を回して唇を重ねる。
すると彼の腕が私の腰に回り、反対の手が私の首を支えグッと上を向く形になる。
その時に開いた口の中に彼の舌が入り込んで来た。
苦しさに彼の胸を叩くと、首筋にチクリと痛みが走る。
「ちょっと!」
「次のステップ進んで良い?」
「・・・・・・ダメ」
彼から体を離し、呆気に取られてる友達を促して歩き出した。
私と同じ思いをすればいいんだ!
振り向いたらきっと、涼しい顔してニヤニヤしているだろう。
そんな顔を見るのも悔しいから、背筋を伸ばして先を急いだ。
2016/9/15