ハイキュー!!

黒尾鉄朗

好き、だからキスしたい

「今日誕生日なんでキスして良い?」

放課後の電気の消えた真っ暗な廊下。

私の体は壁と自分より大きな後輩である黒尾鉄朗の体の間にあって身動きが取れない。

横を見れば彼の肘がある・・・・・・から所謂壁ドンなのだろうか?

密着する体は部活の後だからか妙に温かい。

そもそも顔が近すぎて黒尾なのかもわからない・・・事も無いくらい特徴的な髪が見える。

と言うか、進路指導を終えて帰ろうとした矢先にこの男に捕まってしまった。

「えーと・・・前後の脈絡が繋がらないんだけど」

「プレゼントはキスで良いよって事」

「そもそも何でプレゼントしないといけないの?」

「先輩後輩のよしみで」

「それって学校中の男子とキスしなきゃ」

「却下」

「何それ」

「他のオトコなんてどうでもいいんですぅー」

「意味不明なんですけど」

チャンとキスしたいって事で」

「私はしたくない」

「えー」

「というか離れて」

何とか二人の体の間に手を入れて彼の胸を押すけれど、その腕を取られて壁に押し付けられた。

と思った瞬間に彼の頭が少し傾いて唇同士が触れ合った。

「しちゃった♡」

「じゃあ、離れて」

「何も言わないんだ?」

「私のファーストキス返せって言ったら返してくれるの?」

「え?ファーストキス!?」

「違うけど」

「うそっ!!!?」

「・・・・・・」

「反応してよ」

「どいて」

「胸が当たって気持ちいい」

「セクハラで訴えます」

「もう一回しても良い?」

「あんた、人の話し・・・んっ・・・・・」

さっきのキスとは違って押し付けるようなキス。

文句を言おうと口を開いていたから、彼の舌がすんなり入り込んでしまう。

「あっ・・・はっ・・・」

「んっ・・・・・はぁっ・・・」

片手が私の顎を固定し、反対の手が太腿を撫で上げる。

「んーっ・・・!!!!」

「やっぱダメ?」

「あ、当たり前でしょ!!!?」

「だって好きなんだもん」

「もんとか言うな・・・・・・え?」

「だからチャンが好きだからキスしたいしエッチな事もしたいんデスー」

「・・・・・・」

「勇気を出して告白したのに反応無いの辛いんですけど」

「好きって・・・」

「結構アプローチしてたつもりなんだけど?」

「気付かなかった・・・」

「みたいだね」

「・・・・・・」

「・・・・・・・・・で?」

「なに?」

「エッチな事もしたいんですけどはスルー?」

「うん。ちょっと」

今度はあっさり体が離れ、彼の腕を引いて教室の中に入った。

そして近くにあった椅子を引いて彼を座らせる。

その彼の太腿の辺りを跨ぐようにして座る。

黒尾の肩の上に腕を通して距離を縮める。

「エロいんですけど」

「我慢して」

そして私から顔を近付けてキスをする。

少し距離を取り、顔を傾けて再びキスをする。

その間に彼の腕が私の腰に回された。

「煽ってる?」

「煽って無い。けど好き」

「えー・・・我慢の限界を試されてる?けどまあ、今は嬉しいからいっか」

「誕生日おめでとう、鉄朗」

「・・・・・・やっぱ煽ってるよね?」

眉間に皺を寄せる彼。

今度はその皺に妖艶に微笑んでキスしてあげた。


2017/11/06