黒子のバスケ

笠松幸男

しあわせのかたち

男なんてみんな一緒。

付き合ってヤって。

25歳になる直前、男に飽き飽きしてた私は結婚なんてしないだろうと思ってた。

そんな時、友達の結婚式で笠松幸男と出会った。

二次会で話をして、帰りがけに声を掛けられた。

「結婚を前提に付き合っていただけませんか?」と。

周囲は彼をはやし立て笑っていたけど、彼だけは真剣な目をしていた。

「まず友達としてからなら」

そう答えて携帯番号とアドレスを交換した。

それから数か月、仕事帰りや休みの日に出掛けた。

二人だったり、彼の友人を含めてだったりと。

彼は今でも友人たちとバスケをしているらしく、練習風景も観に行った。

その間彼は、私に指一本触れる事は無かった。

彼の人柄に触れる度、私は彼に想いを寄せていった。

でも、彼は私の返事を求めてくる事も無かった。

半年が経過し、私が痺れを切らした。

二人で歩いている時に、そっと彼の腕に触れた。

だがその瞬間、私の腕は振り払われた。

彼は真っ赤になりながら「触れたら止まらなくなるから」と。

私は彼の抹消面からそっと抱きしめた。

そっと彼の腕が回ってきて、ぎゅっと抱きしめられる。

その瞬間、穴の開いた心に温かいものが流れ込んで来た。

そしてその日、彼の部屋で裸で抱き合った。



温かな日差しが差し込むソファに横になり、左手をかざし光るマリッジリングを見る。

「おい、。そろそろ支度・・・何してんだ?」

「んー?幸男との出会いを思い出してた」

「何でだ?」

「幸せだからかな」

すると私の左手に彼の左手が重なり、顔が近付いてくる。

「オレも。と結婚出来て幸せだ」

囁きと同時に唇が重なる。

少し名残惜しくて唇を押し当てる。

応えてくれるけど、深くならない口づけ。

「出かけるんだから、あんまり煽らないでくれ」

「なんだか嬉しくて」

「ほら、準備しろよ」

「はーい」

幸男に起こされ、私は立ち上がって洗面台に向かう。

結婚式を海外で挙げたので、二次会は今日行われる。

準備を終えて、二人で手を繋ぎながら会場へ向かう。

「帰ったら覚えてろよ?」

「受けて立つよ?」

ちょっと背伸びをして頬にキスをすると、幸男は真っ赤になった。

「ったく・・・」

ぎゅっと力が入った掌を握り返して歩き出した。



2015/12/15