黒子のバスケ
きょり
伊月俊。
誠凛高校3年生の風紀委員の委員長でバスケット部所属。
数学が得意で部の会計をしている。
サラツヤヘアの寡黙な青年・・・・・・・っぽい。
これが去年までの私のデータだったんだ。
でも実際はダジャレ好きの残念なイケメン。
それを知ったのは委員会で私が副委員長になったから。
クラスが一緒になった事もないから接触が無かった。
「単なる同級生」から「好きな人」に変わったのは最近だ。
風のウワサによると、練習時間が減るから彼女を作らないとか。
だが、部活を引退した今はどうなのだろう?
「・・・・・・?」
「へっ!?」
「聞いてなかったみたいだな」
「あ、ごめん。もう一度おね」
「お菊の話を聞く!キタコレ!!」
「いや、きてないし話戻して」
「ああ、引継ぎの話だけど」
内容としては委員会の引継ぎ内容。
もうすぐ受験本番ともなれば、後は後輩達が主導権を握る。
そうなると私と伊月君も再び接点の無い生活に戻る。
「それじゃあ先生に決議案渡して帰るか」
「そうだね」
二人で鞄を手にし、席を立つ。
扉に手をかけて彼が立ち止る。
「どうしたの?」
「って少し離れて歩くよな。なんでかと思って」
「ん?ああ、私の背が170もあるから嫌がられるんだよね」
「ふーん?」
「???」
意味有り気に伊月君の唇がゆがむ。
それを視界に捉えた瞬間、腕が引かれた。
私は両目を見開いたまま彼を見る。
「キスするのに丁度いい高さだと思わない?」
「!?」
言葉と共に近づく彼の吐息、私は目を閉じてその時を待った。
2015/1/27