黒子のバスケ
片恋
2月14日はバレンタイン。
1月に入れば女の子も男の子も浮き足立つ。
まあ、私もその中の一人で。
相手はと言うと我が校の有名人・氷室辰也。
けれどまったくもって接点が無い。
同じ学年だけどクラスは違う。
たまたま受けた補習授業で外を見てたからバスケ部がランニングしていた。
その中で氷室君の走る姿に惚れたってだけ。
なんていうの?
汗がキラッキラ輝いててマンガに出てくる男の子みたいで。
そんな彼に惚れた私も乙女だな~とか思った。
正直、こんな乙女チックはガラじゃない。
友達に話せば同じことを言うだろう。
なのでチョコを渡すかどうかを悩んでいる。
チョコを渡す自分が想像出来ないのもあるし、
数億分の1でも彼女になれたとしよう。
彼の横を歩く自分が想像出来ない。
そもそもジーンズが好きな私 はスカートと言えば制服くらいだし。
女の子みたいにネイルだ化粧もしない。
(化粧すると肌荒れ早くて老け込むって婆ちゃん言ってた)
そんな女がですよ?
イケメンモデルみたいな彼の横を歩けるワケなーい!
やっぱり彼は観賞用って事で終わろう、そうしよう。
わかってるよ。逃げてるだけだってね。
来年頑張ろう・・・
2月14日
通学路からハートが飛び交ってる気がする。
みんなのオーラもピンクみたいな?
いや~~~若いっていいね。
とか心の中で思っていると友達から声がかかる。
「で?はチョコあげるの?」
「いや、まったくもって予定がございません」
「友チョコだけって淋しい青春だな」
とか笑いながら教室へ向かう。
教室のある階に上がると、女の子がキャーキャー言ってた。
「???」
友人と一緒に?マークを浮かべていると、うちのクラスの前に氷室君がいた。
手にはチョコレートの入っているであろう袋。
会えて嬉しい反面、ちょっと悲しい現実。
目を背けて教室に入ろうとする。
「さん」
名前を呼ばれて振り向くと氷室君がこっちを見ていた。
彼から呼ばれる理由が見当たらずキョロキョロしていると
「酷いな・・・呼んだの俺だけど?」と続いた。
「えっと・・・・・・・何かな?」
「少し時間を貰えないかな?」
「ここじゃダメなの?」
二人きりで話なんて冗談じゃない!
ぼーっとして話にならないよ。
それに周りの子の視線がブスブスッと突き刺さる。
「まあ、俺は良いんだけど」
「じゃあ、ここでおね・・・」
「はい、これ」
差し出された小さい箱。
私は受け取るより前に訝しげに彼を見た。
「好きなんだ。だから俺と付き合ってください」
あ~~~爽やかってこういう事を言うんだろうな~って顔してた。
周りでは悲鳴が上がってたらしいが、知らん。
それどころじゃない。
私の脳はクラッシュ寸前なんだ!!!
氷室君は私の手を取り、その箱を乗せた。
そして顔を寄せてきて、私の耳元で囁いた。
「I think I like you more than you think.」
(君が思うより僕は君のことが好きだよ)
2015/1/28