黒子のバスケ

氷室辰也

how to make lovers

冬の青い空って何となく物悲しい。

きっと自分が淋しいと思っているからかもしれない。


「土曜の合コン行ってくれない?人数足りなくて」

「彼氏いるから」

と左の薬指の指輪を見せる。

それでもかまわないと言われたが、断った。

なんとなくあの雰囲気が好きじゃない。

彼氏がいたのは半年前までだけど。

彼に貰った指輪を嵌め続けているのは、こういう時の為。

別れを切り出したのは私だが、彼が浮気をしているのを知ってたから。

「さて、どうしようかな」

暇を持て余すなら合コンに行くべきだったか?

そんな事を考えてても仕方ない。

私は着替えてウインドウショッピングに出かけた。


ショッピングモールはカップルや家族連れが沢山。

私は目的のジュエリーショップに足を踏み入れた。

やはり元カレに貰った指輪を嵌め続けるのは気が引ける。

何より、彼に会った時に未練があると思われたくない。

ボーナスもまだ残ってるし、新しい指輪を新調しよう。

ショーケースの中は、たくさんの綺麗な石が並んでいる。

店員さんと色々話をして、いくつかピックアップ。

目をひいたのがピンクの石。

これ、ローズクォーツだ。

確か恋愛の石。

指輪を嵌めようとしたら攫われてしまった。

「君にピッタリの石だと思うよ」

左半分に温もりがある。

視線を向けると氷室辰也さんがいた。

彼は会社でも大人気の人だ。

私は課が違うから話した事は無い。

なんでその人がここに?

「オレが嵌めるよ」

とにかく私の頭の中はパニックだ。

色々考えている間に左指に指輪が嵌められた。

「サイズもピッタリだね。これください。ああ、指輪はしていくから・・・」

「!!!!!」

彼は私の手を持ち上げ、指先にキスをした。

店員と何か話してたけど、まったく頭に入って来なかった。




何故か知らないけど、今、氷室さんと向かい合わせでコーヒーを飲んでる。

飲んでいるうちに冷静になってきた。

相変わらず疑問符が飛んでいるけど。

「驚いたかな?」

「正直に言えば、なんで?ですけど」

「だよね。順を追って言っても結果は同じだから結論から言うよ。オレと付き合って欲しい」

「・・・・・・は?」

「前々からさんの事は気になってたんだよね」

「そうなんですか?」

「でもリングしてるから恋人がいるんだろうなって思ってた。

でもジュエリーショップで一人で選んでる君を見たらね。

もし恋人がいたとしても奪えば良いって思った」

「・・・・・・恋人はいません」

「それじゃあ、オレの恋人になってくれる?」

「私のどこが良いんですか?正直、氷室さんなら綺麗な人とか周りにいっぱいいるのに」

「それはこれから時間をかけて教えてあげるよ。オレじゃあ役不足?」

「とんでもない!」

「Thanks!!!」

と言って私の顔を引き寄せ、キスをした。

「早く出よう。ともっと一緒にいたい」

そして店を出て、手を繋いで歩いた。



2015/10/14