黒子のバスケ

黄瀬涼太

valentine2017

バレンタイン。

と言う事もあって朝練の為に登校すると、既に女の子が。

「黄瀬くーん!」

周りの先輩達の冷たい視線も関係なしに近寄ってくる女の子。

その子達からチョコを受け取った。

告白と一緒に渡そうとする子には遠慮させて貰った。

オレには可愛い可愛い彼女がいるんス!

姉貴に持たされたエコバックが早速活躍している。

練習の後に教室に行けば、机の上にも沢山のチョコレート。

その中には手紙が入っていて、中を見れば時刻と場所が書かれている。

何が起こるか分かりきっているので、それには応えられない。

申し訳ないッス。

オレが受け取るのは義理チョコのみ。

本命は1つだけッス!!!!!

けれど彼女であるっちは一向に現れない。

「なんで!?」

「フラれたんだろ」

「えぇーーーーー!!!!?」

「黄瀬、うるさいよ」

周りの冷たい声はオレの耳に届かない。

昼休みになって、彼女の教室にダッシュした。

っち!!!!!」

バンと勢い良くドアを開けると、箸を咥えた可愛いカノジョが。

そんな姿も可愛い・・・とか言ってる場合じゃない!!

ドカドカと中に入って行き、彼女の横に立つ。

「話があるんだけど!!!!」

「え?お昼食べてるんだけど」

「それどこじゃなーーーい!!」

と大口を開けた所にウインナーが入れられた。

それをモグモグと咀嚼する。

「ちょっと待ってて」

「いや、無理」

彼女のお弁当をランチョンマットごと持って腕を掴む。

そして空き教室に向かった。

「どうしたの?」

箸を持ったままの彼女がきょとんとしている。

いや、もう・・・可愛くて悶えそう。

「なんでチョコくんないんスか?」

「え?欲しいの?」

「当たり前ッス!!!!」

「だって、沢山チョコ貰ってるよね?」

「貰ってるけど、それとこれとは別なんスよ」

「んーとりあえずお弁当食べて良い?」

「あ、オレ食べるの忘れてたッス」

「少ないけど一緒に食べようか」

机に弁当を広げ、向き合わせに座る。

箸が一膳しかないので、必然的にっちが食べさせてくれる。

誰もいないとしてくれると言う発見。

お弁当を空にして、弁当箱を片付ける。

「さてと。そんなに私からチョコ欲しかったの?」

「欲しかったッス~」

「そっか」

そしてっちはポケットを漁りだし、いくつかのチロルチョコを出した。

1つを手に取り、包装を剥がしていく。

「涼太」

名前を呼ばれて彼女を見ると、顔が近付いた。

頬に手が添えられ、彼女の唇が重なる。

それと同時に口の中に押し込まれた甘い塊。

「美味しい?」

してやったり的な顔をしている彼女。

あ~~~もう何でこんなに可愛いんだろう!

オレは手招きをして彼女を呼ぶ。

頭をかしげながらも立ってオレの横に来てくれた。

腕を引いて彼女を膝に座らせて、机の上のチョコを取る。

そして彼女と同じようにチョコを食べさせる。

「おいしい?」

「物凄く甘いね」

「だよね。もう1個食べたいッス」

「いいよ」

そしてチョコレートの数だけ、キスをした。


2017/02/02