黒子のバスケ
手のひらで温もりを確かめる
大学で知り合った黄瀬涼太と付き合い始めて3年。
モデルを続けてる彼のマンションに私は絶対に行かないからか、
暇さえあれば彼が私の狭い部屋にやってくる。
「狭い」「小さい」「ベッド買い直そう」などの言葉をはねのけ続けていた。
涼太より1つ年上の私は、もうすぐ社会人となる。
学生の為のワンルームマンションから、普通の部屋に引越しをした。
その際に同じワンルームではあるがベッドをセミダブルに格上げした。
何故大きくしたかと言えば、朝起きた時に涼太の手が私のシャツに入り込んでいるからだ。
ベッドが狭いから密着し、そういう行動になるんだろうと思っていた。
勘違いだったけど。
大体は彼に背後から抱きしめられる形で寝ていて、起きるとお腹に手が。
希にある向き合っている形でも背中に手が入り込んでいる。
ベッドのサイズに関係は無いらしい。
涼太に何で手が入り込んでいるのか聞いたけど無意識らしい。
年頃の乙女からすれば、物凄く恥ずかしい!!!!
何度目かのクレームを入れた所で
「あー・・・付き合い始めの頃、っちが離れてく夢見たんスよ。
その時に体温を感じて安心できたことがあったッス」
そういう事を聞かされたら怒れないと言うか・・・
でも、恥ずかしいのに変わりはない。
週末に涼太が泊まりに来た。
思いっきり愛し合った後、いつもは先に寝てしまうけど頑張った。
頑張って起きて寝たフリをしていた。
しばらくすると私を背後から抱きしめたままの涼太から寝息が聞こえる。
重たい瞼を何とか開け、体を反転させる。
忙しかったというだけあって、深い眠りに落ちている様だ。
見慣れたとはいえ、やはり彼は整った顔をしている。
腕をそっとあげ、彼の腰の辺りから背中に回す。
それだけでも彼の体温が感じられた。
でも今日の目的はコレではない。
ゆっくりと手を動かし、彼のシャツをそっと持ち上げ手を差し入れる。
(うわっ・・・)
お世辞でも柔らかくない肌だが、ツルツルしている。
(男なのにズルイな・・・)
そして掌一杯の彼の温度。
自分の掌より温かい体。
愛し合う時には、しがみつく事しか出来ない背中。
改めて触れてみると大きい背中。
年下なのに頼りになる彼。
「なーにしてるんスか?」
「え?」
顔を上げると目を開けている涼太。
「背中撫で回して楽しいんスか?」
「起きてたの?」
「んー微睡んでたら撫でられて目が覚めた?」
「あ、ごめん」
「それは良いんだけど・・・」
「いつも涼太の手が入り込んでるから、自分でも試してみたというか・・・」
「なるほど・・・オレの気持ち分かった?」
「なんとなくだけど」
「本当は愛し合って裸で抱き合って眠りたいくらいなんスけどね~」
「風邪ひいちゃうよ」
「だから手だけで我慢してる」
「我慢してた?」
「そうそう。密着すると寝かせてあげられないッスから」
「バカ」
「それでっちに背中撫でられて煽られたんスけど」
責任とってと言って耳元で甘く囁かれたら頷く事しか出来なかった。
2016/08/18