黒子のバスケ
Jealousy
練習中に広報部の人に呼び出され、急いで撮影スタジオに向かう。
自社ブランドのポスターがトラブルで急に変更になったらしい。
企業チームに籍を置き、専属モデルのオレとしては断れない。
そのスタジオに向かう途中、コーヒースタンドに彼女がいた。
だが、ここら辺は彼女の職場では無い。
本人に聞こうと足を向けたが、先に進む事は無かった。
彼女の目の前に、見知らぬオトコがいて、彼女が綺麗に微笑んだから。
「お疲れさまでした」
スタジオ内に響き渡る声。
スタッフの面々が片付けを始める。
「そういえば黄瀬くん、もうすぐ結婚式だよね?」
「お相手の写真無いんですか?見せてくださいよ~」
色々な声に笑顔で応対し、控室に戻る。
頭の中はさっきの光景が何を意味するのかを考える。
浮気?
いや、っちは絶対にそんな事をしない。
知り合いに会っただけとも違う。
でも、あの笑顔は・・・・・・
「あーーーもうっ!!!!」
彼女に確認しようか?
手にしたスマホをでメール画面を起動する。
だけど何を書いて良いのか分からずに電話帳を開く。
探し出した名前から通話ボタンを押せば、5コールで相手が出た。
「聞いてくださいよ、緑間っち~」
だが、聞こえてきたのは「ツーツー」と言う機械音。
リダイヤルをしても切られ、5回目にして『なんなのだよ』と返事をしてくれた。
「っちが浮気してるかも・・・・・・」
『ほう?やっとお前の浮気がバレて向こうもお返しとばかりにか』
「ちっがーう!」
『では、マリッジブルーか。結婚前に他の男も試し「違う!」』
『お前に割く時間は無いのだよ』
「冷たいっすよ、緑間っち~~~。」
『当たり前なのだよ。端的に説明しろ』
「っちがオトコとお茶してた。ちょ~~~笑顔で」
『はぁ~~~~~~』
ものすご~~~い長いため息されたんスけど!?
『俺と話していても何も解決しないだろ。さっさと彼女と連絡を取って話し合え』
それだけ言って電話が切れた。
それから青峰っちや赤司っちにも電話をしたら同じ事を言われ、電話も切れた。
で、黒子っちに掛けたら
『本人に聞いてください。今、目の前にいるんで』
『もしもし?』
「え?っち?」
『あ、うん。ばったり黒子君に会ったの』
「えっと・・・・・・あのさ、今から時間取れないッスか?」
『うん、帰るだけだから良いけど・・・仕事終わったの?』
そして待ち合わせ場所を決め、二人で住んでいる家に帰った。
リビングに入るなり、顔を突き合わせるようにして座る。
「どうしたの?」
「単刀直入に聞くけど、さっき一緒にいたオトコ、誰ッスか?」
話を切り出すと、っちは驚いた顔をしてから笑った。
「何で笑うんスか!?」
「いや、本当に見てたんだなって」
「どういう意味ッスか?」
「えっと、涼太は気にしないと思って言わないつもりだったけど、彼は前に付き合ってた人です」
「え?」
「笑ってたのは多分、涼太の事を話してたからだと思う」
「・・・・・・」
「幸せか?って聞かれたからね」
「っち・・・」
「まさか、涼太が妬いてくれると思わなかったな」
「えぇー!妬くでしょ、普通」
「・・・・(苦笑)」
「あー・・・誰かに何か聞いたッスか?」
「あははは(苦笑)」
「今までは心配する様な付き合いしてたのは否定しないけど、っちは別!」
「・・・・・うん」
「だから、安心して欲しいッス。っちも浮気したら相手殺すかもしれないッスからね?」
「うん、わかった」
クスクス笑う彼女を抱きしめてキスをする。
幸せを実感できるって良いッスね。
「あのね、さっき歩いてたら黒子君に声を掛けられたんだけど」
「ああ、一緒にいたッスね」
「全然気が付かなくて物凄く驚いちゃったの」
「あぁー・・・」
「涼太の方が先に会う事があったら謝っておいて」
「大丈夫ッスよ、慣れてるから」
「え?」
頭に??マークを浮かべているの頭を撫でた。
2016/01/18