黒子のバスケ
impact 前編
もうすぐ部活の引退を控えているという気持ちから
欲をかいたのが間違えの元だった
通学途中に海常高校がある。
そこにあの黄瀬涼太が入学したのは噂で聞いていた。
私も一応乙女だし?ファッション誌とか読むし?
黄瀬涼太がイケメンだとも思う。
通学電車で会ったり・・・・・・なんて夢見た事もあった。
自転車や徒歩通学かもしれない事なんて微塵にも思わない頃ね。
今では少し大人になった思考で「偶然なんてない」って知ってる。
そう、だから目の前にいる人が黄瀬涼太なワケないし。
ましてや私の隣に座るなんて!!!!!
これはもう寝たふり決め込むしかない(キッパリ)
目を閉じて・・・・・・
座高低いな・・・・・・
制汗剤なのか何なのか良い匂いするな・・・・・・
微妙に肩が触れてて温かいな・・・・・・・・・
ん?なんか頭がポフポフされてる?
「・・・・・し、もしもーし?オレ、次で降りるんで」
「・・・・・・・・・・へ?」
「あ、起きたッスね。オレの肩を枕にしてたんで起こしたッス」
「ご、ごめんなさい!?って、あだっ」
勢いよく立ち上がった時に、吊革に頭をぶつけた。
その時に電車のドアが開いた。
「すいませんでしたー!」
とりあえず謝って電車を降りる。
柱の陰に隠れ、頭を抱えてしゃがみこむ。
ぶつけた所が痛いのもあるが、
あの『黄瀬涼太』を枕にして居眠りって・・・・・・・
「あーーーバカバカバカ!」
「大丈夫ッスか?サン」
「いえ、マリアナ海溝より沈んでるんで」
「そりゃ大変ッスねぇ・・・・・・ついでに電車も行っちゃったッスよ?」
「えっ!?」
ガバっと顔を上げると黄瀬涼太がいた。
ついでに駅の名前を見えると私の駅は更に先だった。
「あーーーー!!!!!」
「ぷっ・・・・・・あははははは」
彼が大笑いを始め、お腹を押さえながら私の前にしゃがみこむ。
そしてひとしきり笑った後、私と視線が合う。
「あ!そういえば名前!?」
先ほど名前を呼ばれた事を思い出して口にする。
そうすると彼はまた笑った。
「は~笑った。とりあえずサン?」
「はい?」
「名前とケー番とアドレス教えて欲しいッス」
私の携帯に『黄瀬涼太』が追加された日だった。
2015/03/25