黒子のバスケ

黄瀬涼太

踏み出す一歩

同じ大学の黄瀬涼太に告白されて一か月。

私は最初の段階で付き合えないと告げたのに

「絶対好きになるから付き合って」

「オレ以上にさん好きな男いないから」

なんてことを言われ続けている。

そして講義が終わり、彼に空き教室に拉致された。

「今、付き合ってるヤツいないんスよね?」

「いないよ」

「お試しで良いから付き合って」

「だから無理」

「どうして!?」

「黄瀬君とは本当に無理」

「・・・・・・ちゃんと目を見て言って?」

「それも無理」

すると私の頬を彼の掌が包み込んで強制的に彼を見る事になった。

顔を背けたくても彼がそれを許さない。

私は仕方なく視線を下げ、両手で彼の胸を押した。

「・・・・・・っち、耳、真っ赤っス」

「・・・・・・わかってる」

「ちょ~顔見たいッス」

「ダメ」

「そんなにオレの事、嫌いッスか?」

「嫌いじゃない。でも付き合えない」

「理由にならないッス」

「だから!例え付き合ったとしてもキスしたり他にもあれこれ出来ないから!」

「・・・・・・」

「黄瀬君といる自分が恥ずかしいの!というか、直視出来ない!!」

「・・・・・・・・・ねえ、っち」

優しい彼の声に体の力が抜ける。

その瞬間に顔が上げられた。

「んっ・・・」

唇に感じる温もり。

その温もりが離れた瞬間、無意識に目を開いてしまった。

「!!!!!」

「すっげ~真っ赤。ちょ~可愛い♪」

「なっ!?」

「キスする時は目を閉じてれば良いんスよ」

そして彼に抱きしめられた。

「これから毎日キスするから慣れるッスよ」

「毎日なんて無理」

「とりあえず恋人繋ぎしながらデートッスね」

「私の話聞いてる?」

っち、ちょ~~~大好き!」

浮かれてる黄瀬君の横顔を見る事から始めよう。



2015/12/09