黒子のバスケ

黄瀬涼太

悪魔か天使か

いつから自分を曝け出す事が出来なくなったんだろう

気が付けば常に自分ではない「相手が望む自分」を身に纏う様になっていた

本当の自分って、どんなんだっけ?

考えても仕方ないなら放棄してしまえばいい

バスケをしている時だけは考えないでいられた

「黄瀬って普段とバスケしてる時、どっちが本物なのかね?」

せっかく放棄したのに・・・・・・

バスケに打ち込んでたのに

マネージャーの一言がオレの心をかき乱す

何で今言うかな

「人間らしいトコもあるんだね」

悩んでるオレを見て微笑むこの人は、悪魔なのかもしれない



「なんて思ってた事があるんスよ」

「ふーん・・・」

「え?それだけッスか?」

「他に何かあるの?」

「今じゃ天使みたいでしょ?とか、そんな事考えてたの!?って怒るとか」

「涼太・・・・・・マゾ?」

っち相手ならどっちでも・・・って、ちっがーう!」

クスクス笑いながら先を歩く彼女を追いかける。

一緒に歩いていてオレより小さな歩幅

小さな背

小さな手

トーンの高めの声、全てを見透かすような瞳

ちょっと小さ目な胸も何もかも、今は愛おしくて仕方がない。

彼女の隣に立ち、肩を抱く。

オレの顔を確認する様に上を向いた唇にキス。

「ちょっ!」

「真っ赤になったっちも大好きッス。んじゃ、早く映画館にレッツゴー!」

恋人繋ぎをした手を引きながら進む。

きっとこれからもずっと永遠に。



2016/04/19