ハイキュー!!
気紛れなキス
*管理人は東京しか知らぬゆえ、関西弁は多めにみてください。
「」
名前を呼ばれて顔を上げると宮侑の顔があってキスをされる。
そんな関係が2年以上続いている。
何でキスをするのか謎なのに、その理由を聞けないでいる。
何で理由を聞かないのか、それは自分でも分からない。
聞いてしまえばこの関係が終わるかもしれない。
逆に終わらせたくないのかもしれない。
終わらせたくない理由ってなんだろう?
宮侑が好きだから?
好きってなんだろう。
彼を好きになる理由が何1つ思い浮かばない。
彼がバレーをしてる時は素直に格好いいと思うけど、他のメンバーにも同じ感情を抱いている。
考えても考えても理由が分からない。
それならばと、考える事を止めた。
そしてそれは唐突だった。
全体練習が終わって自主練をしてるメンバー用にドリンクを作っていたら、背後から宮治が声を掛けて来た。
「なあ、何でツムとキスしとんの?」
良く作ったドリンクが入ったボトルを落とさなかったと思う。
我ながらよくできたマネージャーだ。
「なに、急に」
「付き合ってん?」
「付き合ってへんよ」
「なら何でキスしとんの?」
「さあ」
「さあって。ツムが好きちゃうんか?」
「よう分からん」
「なんやそれ」
「正直に言っただけや」
私は答えながらもドリンクを作っていた。
ボトルの蓋をした所で腕を引かれ、否応なしに宮治と向き合う形になった。
「なら俺とキス出来るん?」
「したいん?」
「疑問に疑問で返すなや」
「正直に言っただけや」
どのくらいかわからない、1秒なのか1分なのか見つめあった後、彼の顔が近づいてキスされる、と思った。
その瞬間「なにしとんねん」と宮侑の声がした。
「なんやツムか。ええとこ邪魔すんなや」
「答えになってへんやろ」
「にキスしようとしとっただけや」
「ふざけんなっ!」
侑が治の腕を引き、私はバランスを崩して倒れそうになった所を宮侑に腕を取られて倒れる事は無かった。
その時に治が侑の耳元で何か言って「やかましいわ!」と言った彼の肩をポンと叩いて治はいなくなった。
「ありがと」
「なにがや」
「これ」
私は掴まれている腕の部分を指さすと「ああ」と言って手が離れた。
「ドリンクなら出来てるけど」
「そんなんちゃうわ」
「あっそ」
私は再びドリンクを作り始める。
「なあ、サムとキスしたん?」
「してへんよ」
「なら、なんで俺とキスするん?」
「そっくりそのまま返すわ」
「好きや」
「牛丼か?」
「ちゃうわ、ボケ」
「あっそ」
「それだけかいな」
「それだけや」
私はそのまま作業を続ける。
それでも侑は動く気配がない。
そして作業が終わって振り向きざま「」と呼ばれて顔を上げた。
するとやっぱり侑の顔がドアップになって唇が重なる。
「ほんまに好きや」
「あっそ」
「それだけかい」
「そうや」
私はドリンクの入った籠を持ち上げ、体育館へ向かう。
その後ろを侑がブツブツ言いながらついてきた。
だから私は籠を足元に置いて振り返り「侑」と呼ぶ。
下を向いてブツブツ言っていた侑が少し顔を上げたので、すかさずキスをしてやった。
2021/01/14