ハイキュー!!

月島蛍

それは僕と君だけの秘密



高校一年の時に私が告白して付き合い始めて2年が経った。

部活に忙しい蛍くんとのデートは十回に満たないだろう。

それでも貴重なオフを私の為に割いてくれる優しいカレ。

駅で待ち合わせをして電車に乗り込む。

「付き合いを大っぴらにする気は無いから」

最初に言われた通り、私達は外でも学校でもベタベタしない。

だからデートで会う時も手を繋いだりしない。

でも今みたいに電車で混んでいれば、私を守る様に立ってくれる。

初めて体を重ねた辺りからだろうか?

支えてくれる場所が背中から腰になり、少し引きつけられる様になったのは。

微妙な変化が、彼らしくて好きだ。

些細な事で喜べる自分は、本当にこの人が好きなのだと思う。

彼から「好きだ」と言われたのは、最初に抱かれた時だけだろう。

高校を卒業すれば互いの進路は別々になる。

高校生の間だけでも彼女でいたい、そんな気持ちが日に日に強くなる。




数年前仙台市内に出来たこの室内プール。

今では遊園地の横に出来た大型プールに人を取られている様だ。

入り口で彼と別れ、更衣室に向かう。

受験の合間に友達と海に行こうと言っていたので新しく買ったビキニに着替える。

ロッカーに荷物を仕舞って鍵を閉め、財布代わりのリストバンドを付ける。

蒸し蒸しするロッカーを抜け、プールへ出る。

そこに腕組みをして立っている蛍くんがいた。

近くで二人組の女の子がコソコソと話している。

「お待たせ」

と声を掛ければ残念そうにその場を離れた。

ああ、この人は相変わらず人気があるな。

「行くよ」

腕を引かれプールサイドに。

軽く準備体操をして、腕を引かれながら水の中に入った。

元々お喋りではないけど、全然会話が無い。

「蛍くん?」

流れるプールを手を引かれながら歩く。

すると「はぁ・・・あのさ、」とため息をつき、ところどころにある窪みに入り込んだ。

そこは流れから外れ、ゆったり出来る様に段差がある。

蛍くんはそこに腰を下ろし、私の腰を引き寄せた。

「それ・・・新しい水着?」

「あ、うん。達と皆で海に行く話があって」

「却下」

「え?」

「それでも行くなら上に何か絶対着てて」

「え?でも変な焼け方しちゃう」

「でもダメ。それは譲れない」

「・・・・・・」

また溜息をついたと思ったら、更に引く寄せられて体が密着する。

蛍くんの額が鎖骨の下辺りにくっついた。

と、思ったら胸の辺りにキスをしてくる。

「け、蛍くん!?」

「あのさ・・・もう少し警戒心持ってくんない?」

「警戒心なら持ってるけど・・・」

「持ってたらこんな水着買わない」

「こんなって・・・」

「胸の谷間が強調されるヤツ。ブラのサイズ上がったでしょ?」

「なっ!?」

「まあ、僕が大きくしたようなもんだけどさ。他の男の視線、敏感になりなよ」

「う、うん・・・・・・」

の心もカラダも僕のモンなんだからさ」

耳元で囁かれる嫉妬に、私はクラクラしてしまう。

そんな私を離さないでいてくれる蛍くん。

こんな風に嫉妬されるのも悪くないのかもしれない。



「と言うワケでお仕置きするから」

次の日、私はベッドから起き上がる事が出来なくなっていました。



2016/07/27