ハイキュー!!

及川徹

おでこコツン

私の彼氏は、及川徹です。

彼は宮城という狭小地だからなのか、女の子にモテモテです。

これが東京だったら霞むのかな?

きっとイケメンとか多いよね?

霞んじゃえば良いのに・・・

その人気に耐えかねて高校3年になってすぐ私は別れを切り出しました。

そして受験勉強に励みました。

元々成績は悪くなかったので、希望する大学の推薦を取れました。

後は卒業を待つだけの時、徹が私の教室まで来ました。

「やっぱ別れたくないんだけど」と言ったのです。

いつも彼女がとっかえひっかえの徹。

来るもの拒まず去る者追わずだし。

けれど岩ちゃんが「寄り戻したいなんて言ったの、お前が初めてだ」と言っていました。

本当に私が好きだからなんて夢みたいな事は思っていない。

ただ単に付き合うのに楽だからかもしれない。

徹から「春高負けたのはのせいだ」と言われました。

「自分の努力が足りなかったのでは?」と言う前に、

がいつものやってくれなかったから」と言われた。

いつもの。

試合前に徹と会って、向き合わせで手を繋ぐ。

すると徹が額を合わせる、それだけの事。

その時の私は「徹のサーブがミスしませんように」とか思っていました。

それは二人だけの儀式の様なもの。

私の後の彼女とやらなかったのかと聞けば、

「あれは俺とだけの儀式みたいなもんなの!!」と怒られた。

それからずっと、試合前になると必ず私は控室に向かっています。

全日本のメンバーに選ばれて海外遠征になる時は、行ける時には行った。

けれど全試合は仕事をしている以上無理な事。

「及川になって!俺が養うから!!だから全試合応援に来て!」

それがプロポーズの言葉でした。

話は一気に加速していきます。

「すっげー緊張する」

「試合とどっちが緊張する?」

「え?こっち。だってに一生を捧げますって儀式なんだし」

「私が捧げるんじゃなくて、捧げられるんだ」

「だってそういう事でしょ?」

「徹は私に捧げて、私も徹に捧げるんだよ」

「あ、そっか~。でも捧げる事に変わりないから緊張する~」

そして今日も私達は向かい合って手を繋いで額を合わせる。

真っ白なタキシードとウウェディングドレス姿で。


2017.04.21