ハイキュー!!
君の愛で僕は呼吸を取り戻す。
大学の頃から全日本の代表に選ばれる様になった。
何度経験しても遠征は慣れない。
一人暮らしの自分としては家に帰るのは嬉しいが、
洗濯物と格闘するのを考えると憂鬱でしかない。
嫁はいないけど彼女はいる。
岩ちゃん曰く「クソ川には勿体なさすぎる。早く解放してやれ!」という彼女が。
養っていくだけの給料はある。
遠征の多い自分が彼女を一人残して行くのが引っかかっている。
「ただいま~」
玄関を開けると白檀の香りがする。
それは最近彼女が好んで焚く香りだ。
男のワンルームの部屋に不似合なんだろうが、心が落ち着く。
それと同時に彼女に会いたい気持ちが沸きおこる。
今日は月曜だからまだ仕事中だ。
明日も仕事があるワケで、無理をさせるワケにはいかない。
昨日もここに来て、掃除なんかをしてくれるし。
「なんて聞き訳が良い俺じゃないし」
スマホを取り出し、LINEを立ち上げる。
遠征中にもやりとりしていたから履歴は上の方にある。
『たっだいま~日本に帰ってきたよ。可愛い可愛い彼女の顔を見たいんだけど会える?』
実行ボタンを押して机に置く。
キャスターバックから汚れ物を出し、洗濯機に掛ける。
半分は向こうで選択済みだから1度で済むだろう。
風呂に栓をしてお湯を出す。
部屋に戻ってメッセージを受信していないのを確認して凹む。
仕事中の携帯禁止だしね。
着替えを出し、風呂場に向かう。
風呂から上がると彼女から返信が来ていた。
『おかえりなさい。残業しないで徹の家に向かいます』とあった。
やったー!と喜んでから時計を確認。
まだ彼女が来るまで3時間はある。
冷蔵庫を開けると、温めるだけになってるカレーがある。
きっと昨日作り置きしてくれたんだろう。
本当に出来すぎた彼女だ!!!
野菜室を覗くとサラダになりそうなものもあり、
サラダとスープくらいは作ろうと包丁を手にした。
鼻腔をくすぐる良い香りがする。
「おはよう」
「えっ!?」
どうやらソファで寝ていたらしい。
ソファに寄りかかる様に座っていたがいた。
「何で起こしてくれないのさ!」
「インターフォン鳴らしたのに出てこなかったじゃない」
「え?マジ?」
「マジマジ。お腹減ったよ、ご飯にしよう」
「そういえば帰国してから食ってないや」
「ダメじゃん」
クスクスと笑いながら台所に向かった彼女の後を追いかける。
コンロに火をつけた所で背後から抱きしめた。
「はぁ~~~~~~」
「お疲れ様」
「うん、疲れた」
「ニュースで見たよ」
「映った?」
「映った映った」
「ねえ、・・・結婚しよう」
「え?」
「もうダメ。いないと死んじゃう」
「大げさな」
「ほんとほんと。息の仕方も忘れちゃう」
「そういうのを大げさって言うの」
「明日にでも籍入れたい。結婚したい!結婚式ではサムシングフォーだけじゃなくて、
ブーケトスもガータートスも6ペンスコインもする!!!!!」
「ガーターはいらん。6ペンス?」
「今は無いけどイギリスでは6ペンスコインを花嫁の左足の靴の中に
1枚忍ばせておくってのがあるんだって」
「へぇ・・・」
「だから結婚しよう!俺を幸せにして!!!」
「普通は私を幸せにしてくれるんじゃないの?」
「だってが幸せなら俺が幸せだし?」
「なるほど」
クスクス笑う彼女を振り向かせ、向き合う形をとる。
「だから!、結婚してください」
「はい。徹を幸せにしてあげるよ」
「よっしゃー!ご飯の前に誓いのキス」
「お腹減った」
「ダーメ。俺のメモリ真っ赤っかだから」
彼女の腰の辺りから手を伸ばしコンロを止めてから彼女を抱きしめキスをした。
2016/8/17