ハイキュー!!

東峰旭

まどろみの中で触れる愛しさ

自分は決して積極的とは言えない。

優柔不断の自分のせいで別れた恋人は片手の指を折り返す事になるところまで来た。

「バレーではズバっといけるのに」

そう言われたのも一度や二度じゃ足らない。

そんな自分に再び彼女が出来た。

後輩である田中の知り合いの知り合い。

仕事終わりに皆で飲んでたら彼女達も店にいて一緒に飲んだ。

その時に「可愛いな」とは思ってたけど、他にも彼女を口説いてる男がいたから何もしなかった。

けど帰る間際に連絡先を聞かれたので交換したのが切欠だった。

それから飯を一緒に食べに行ったりして彼女もバレーをしてた事等を話して意気投合。

けれど俺の周りには彼女を狙ってるヤツがいたから何もしないでいた。

半年くらい経った頃、バレンタインに彼女からチョコレートを貰った。

「いつも誘うのは私だし、受け取って貰えなかったら諦めます。旭さんの事、好きなんです」

本当は断ろうとした。

けれど彼女の潤んだ目にやられたんだと思う。

彼女の手を取り「これからよろしくお願いします」と告げれば、その瞳から涙がこぼれた。

慌てる俺に彼女は「うれし涙なので」とハンカチでそれを拭った。

綺麗だと思った。

無意識に目尻にキスをしていた。


付き合って三か月経つ頃、彼女の元気がなくなっていく。

仕事で何かあったのかと思って心配していたけど、それは違っていて。

「私って魅力ないですか?」と言うものだった。

彼女と手を繋いだりキスするだけで、いっぱいいっぱいだった俺。

自分だけが好きなんじゃないかと不安だったらしい。

でもそれはそうじゃなくて・・・・・・頭の中ではもう何度も抱いてる話で。

可愛すぎて手が出せなかっただけで。

実際に彼女を俺の部屋に連れ込んだけど、最初は緊張しすぎて使いモノにならなくて。

それでも良いと真っ裸で抱き合っていた。

けれど彼女の手がソレに触れ、動かされるとソレがいきり立った。

そして何度放っても収まりきらず、彼女が失神するまで抱いた。

!?どうしよう・・・救急車!?」と慌てふためいていると彼女の目が開いた。

悶絶失神ってのを初めて体感した。



「にしても、旭のカノジョ、可愛いよな」

「だよな~」

「・・・・・・リア充撲滅アタック!!!!」

「ぐはっ!!!?す、すが・・・・相変わらずだな」

今日は大地の結婚式で。

神前式を終え、披露宴は駅前にあるレストランの貸し切りで立食パーティー。

そこに面識があるも一緒に連れて来たのだ。

今回だけじゃなくて飲み会にも一緒に行くから周りの連中とは顔なじみになっている。

今も日向と二人でデザートを取りに行っていた。

菅原じゃないけど、周りと比べても・・・・・・が可愛い。

ミントグリーンのドレスがフワフワで、とても似合っている。

「後であれを脱がすのか・・・・」

「ぶふっーーーーー」

自分の心の声が耳元でして思わずビールをふき出す。

「旭、きたなっ!!!?」

「大丈夫?」

紙ナプキンを差し出してくれたのはで。

それを受け取って口元と足元を拭う。

「煩悩だねぇ・・・」

「煩悩?」

「そう、旭がヤキモチやいてるよ、ちゃん」

「え?」

「あー・・・ははは」と笑って誤魔化す。

兎にも角にも大地の結婚式は終わった。

と手を繋いで、俺の家に向かう。

「綺麗だったね」

「白無垢ってのも良いな」

「披露宴のドレスも素敵だった」

そんな会話をしながら部屋へつく。

ヒールを脱いだ彼女の腕を引き壁に押し付けた。

顔を傾けて行きより色が落ちた唇に自分のそれを重ね合わせる。

「花嫁より綺麗だったよ」

「大地さんに怒られるよ?」

「本当の事だし」

「旭さんのスーツ姿も、他の人より素敵だった」

「ありがとう。でも、もっと綺麗なが見たいな」

「それってどういう」

「俺の腕の中で乱れてください」

そしてキスをしながら彼女の背のチャックを下げ、ドレスが下へ落ちた。



遮光じゃないカーテンなのは陽の光を感じる為。

その光のお蔭で目が覚めた。

腕の中には愛おしいがいる。

白いむき出しの肩が光が当たって綺麗だ。

その肩を撫でて背中を抱き寄せて背中を撫でる。

「ん・・・おはよ」

「・・・・・・おはよ」

「どうしたの?」

「んー幸せだなーって」

「私も幸せ」

そう言ってぎゅーっと抱きつかれる。

ああ、もう・・・本当に可愛い。

彼女をベッドに押し付けて見下ろす。

「・・・・・どうしたの?」

「まだ寝起きだし、朝だけど、シてもいいですか?」

「え?今?」

「今。が好き過ぎて止まらない」

素直にそう言うと、彼女が微笑んだ。

「きて」

そういって両腕を広げてくれたので、顔を寄せてキスをした。


2017/09/06