DYNAMIC CHORD

結崎芹

子供の恋

じゃないか?」

懐かしい声が私の名前を呼んだ。

振り向けば、今でも忘れられない男がいた。


「久しぶりだな。何でこんなトコ(イベント会場)にいるんだ?」

「久しぶり。[reve parfait]のサポートでね」

「へぇ?あの若造達の」

さ~ん!早く早く~」

「呼ばれてるから」

「なあ、終わったら会わないか?連絡して」

結崎君は私の胸元に名刺を差し入れた。

何も答えず、視線を外した。

きっと結崎君はニヤニヤしながら見てただろう。




私は楽器のメーカーに努めている。

そして新製品発表のデモンストレーターとしてイベント会場で演奏していたところ、

たまたま買い物に来ていた怜音君の目に留まった。

「へぇ、シンセって面白いんだな」

そこからあれこれと会話が広がり、私の音に合わせて彼が歌いだす。

すると注目を集めてしまい、収拾するのが大変になった。

まあ、それが縁でライブやイベントで彼等のバックでシンセを弾く事になった。

うちの社はうちの社で

「あのDYNAMIC CHORD社とのコネが作れた」と喜んでいる。

DYNAMIC CHORDに結崎君が所属しているのは知っていたが、


[reve parfait]と活動を共にする事も無いと思っていたし、

彼が私を覚えているとも思わなかった。

結崎君とは高校が同じで付き合っていた事もある。

彼はあの容姿だし、御曹司だし、人気があった。

言い寄る女の子は数知れないし、二股を掛けられる前に別れを告げた。

彼も何で別れるのかも聞かなかったし、自分がそれだけの存在に感じられた。

それから言葉を交わす事も無く卒業を迎えた。



ライブイベントが終って打ち上げに参加した。

[reve parfait]の面々から二次会に行こうと誘われたが、

私は明日仕事だと告げ参加しなかった。

彼等と別れ、駅に向かう途中

「や~っと一人になった」

私の真横に止められた車。

顔を出してたのは結崎君だった。

「話がしたいから乗れよ」

「話す事無いし」

「俺はあるんだよね~。とりあえず乗れって。送るから」

私は溜息をついて助手席に乗った。

自宅の近くの場所を伝える。

車は走り出し、会話はありふれた物だった。

ところが・・・・・・大きな公園付近で車が止まる。

「どうし・・・」

「なあ、なんであの時別れたの?」

「は?」

「今でも分からないんだよね」

「・・・・・・」

「絶対に戻ってくると思ったけど、結局戻ってこなかったし」

「・・・・・・・・・」

「まあ、いいや。体に聞くし」

その途端、顎を固定されキスされた。

ただ重ね合わせるだけのキス。

長々と重ねられ息継ぎしようと顔を背けると、開いた唇に舌が差し込まれる。

歯列をなぞり、舌を絡め取られる。

結崎君の体を押し返そうとしてもビクともしない。

上にばかり気を取られていたら、彼の手がスカートの中に入り込んだ。

そして下着の上から敏感な場所を刺激される。

「あれから他の男に抱かれた?」

「いやっ!」

「なあ、どうだった?」

「止めて、結崎君っ!」

「そんな事言っても、下着の上からでも濡れてきてるよ」

「止めてっ・・・あっ!」

「うわ~凄いヌルヌル。ココ触ったらどうなる?」

下着の中に手を入れられ、敏感な突起をグリグリと押される。

押し寄せる快楽に甘い声が上がる。

・・・凄い気持ちよさそうだな。じゃあ、指、入れるよ」

そしてナカにするりと長い指が入り込む。

「あぁっ!!!!」

「あっつ・・・挿れたら気持ちよさそうだな~」

「んっ・・・・・・」

「腰、揺れてるけど・・・イキそう?中もギュウギュウ締め付けてくるし

 ああ、こっちも刺激して欲しいのか」

私のシャツとブラジャーをたくし上げる。

「乳首、勃ってる。今舐めてやるよ」

同時に刺激され、私はあっけなく登り詰めた。

シートに寄りかかり、息を整える。

すると結崎君が車から降り、後部座席へ移動した。

その途端に私のシートが後ろへ倒れた。

「きゃあっ!」

「よっと・・・・・」

体が引っ張られ、彼の上に横向きに座らされた。

その途端に下着が降ろされ、彼を跨ぐ形になる。

そして腰をグッと引かれ彼が一気に入り込んで来た。

「あぁっ!!!!」

「くっ・・・・・・挿れただけでイッちゃった~?」

「はぁ・・・はぁ・・・んっ・・・・・・」

「すっげ~気持ちいっ・・・」

緩急をつけながら、彼に突き上げられる。

誰かに見られてるかもしれないと思うのに、声が我慢できない。

「ココ、のイイところか。ココをこすると、すっげ~締められる」

「はぁっ・・・んあっ・・・・・・」


「芹って呼べよ。そうしたら・・・イカせてやる」

「せり・・・芹っ!」

「もっといい声聞かせろよ?」

そして重点的に擦りあげられ、私は再び登り詰めた。

芹も一緒に達したのが分かったのは、私の中に放たれたからだ。

それと同時に、私の意識が飛んだ。

「帰ってこい、



ぽかぽかしている。

温かく柔らかい感触。

「なあ・・・何で何も言わずに離れたんだ?」

薄ら聞こえる芹の声。

きっと私は夢の中にいるんだ。

「大好きすぎて・・・・・・辛かった」

「ちゃんと言えよな~」

「・・・・・うん・・・・・・えっ!?」

「おはよう。風呂に入れても目が覚めないから、ちょっと心配だった」

「あ・・・・・・ありがとう」

「寄りを戻さないか?」

「なに、突然」

「お前、まだ俺の事好きみたいだし?寝言でも芹芹って何度も名前呼ばれたしな~」

「うそっ!」

「ホント。すっげ~可愛かった」

とキスされる。

「あの頃みたいにガキじゃねえし、お前の事を不安にさせないって約束する」

「芹・・・・・・私はずっと好きだった。あの時のまま、ずっと・・・・・・」

「じゃあ、そういう事で。昔の男の影、消そっか♪」

と言われ、ベッドに縫い付けられる。

「照れてる?」

「照れてませ~ん」

「ふふふっ・・・」

「お前な~そんな余裕かましてられなくしてやる」

甘いキスから官能を呼び起こされるキスへと変わっていく。

「芹、大好き」

、愛してる」

二人でシーツの海に溶け込んだ。


2015/6/17