ダイヤのA
僕が君を愛するということ
シニアで活躍し、甲子園でも活躍。そしてプロ野球入り。
完璧な野球人生を送る俺。
同性からは羨まれ妬まれ、異性からはモテる。
そんな俺には付き合ってる女がいる。
だ。
彼女とは高校1年、俺から告白して付き合い出し、もうすぐ10年を迎える。
10年だよ10年!
普通は結婚したいとか思うんじゃないの!?
なのに彼女は全くもってそんな素振りも無い。
思い返してみる。
「俺が好きなんだから付き合ってよ」
「どこに?」
「彼女になれって事!」
「ああ、ファンにしつこくされてるんだ」
ボケた事ばっかり言ってるからキスして黙らせたんだ。
(顔真っ赤にしてて可愛かったけど・・・ぷぷぷ)
高校三年の初詣でも
「年が明けたらプロ野球のキャンプに参加するから」
「へぇ・・・凄いね」
「卒業したら球団の寮に入る」
「健康管理もバッチリだね」
「会えなくて寂しくないの!?」
「テレビに映るし、連絡は出来るでしょ?私も大学生活慣れないとだし」
入団してすぐの夏は
「ファンクラブがあるんだって」
「もう入ってるけど?知らなかったの?」
「・・・・・・ヤキモチ妬いたりしないワケ?」
「何で?」
「・・・・・・・・・」
入団して二年半
「三年目からは寮を出ても良いんだって」
「そうなんだ?実家に戻るの?」
「一緒に住みたいって選択肢ないわけ!?」
「え?イヤだよ。私就活始まるし、鳴の面倒みれないし」
「面倒って何!!!」
「だって料理も掃除も出来ないでしょ?」
「ぐっ・・・」
彼女が就職して1年3ヵ月の頃
「先輩に合コン誘われたんだよね~。彼女いるって言ったら人数合わせで良いって」
「あ、鳴も?私も誘われたけどお互い様なら大丈夫だね」
「大丈夫って何が!?」
「後ろめたい事が無いでしょ?」
一也に話したら
「愛されてんじゃねえの?つーか、ノロケんな!!!!」
って言われて奢らされた。
生活リズムが合わないし、もっと一緒にいたいと思ってるのにな。
雅さんには「二人で話し合え」って言われるし。
彼女は本当に俺の事が好きなのだろうか?
「ねえ、俺の事本当に好きなの?」
デートの最中、普通のレストランで口を出た言葉。
本当に無意識だった。
彼女はただ日常であった事を話していただけ。
そこに自分が存在していない事に寂しさを感じただけ。
「分かった。もういい」
席を立ちあがってバッグを掴んで店を出て行った彼女。
急いで後を追って会計を済ませて店を出たが、もう影も無かった。
携帯を取り出して彼女の番号を押す。
聞えてくるのは無機質なアナウンス。
「チッ・・・」
もう携帯は繋がらないだろう。
彼女が行きそうな場所を回り、彼女の実家に向かう。
「あら、鳴くんじゃない。あら?今日ってデートじゃなかった?」
「そうなんですけど・・・ちょっとさんを怒らせてしまって」
「あの子が怒ったの?珍しいわね。でもまだ戻って無いのよ」
おばさんが連絡をしてくれたけど、彼女が出る事は無かった。
挨拶をして再び彼女を探す。
けれども彼女は見つからなかった。
明日から春季キャンプが始まるし、もう寮に戻る時間だった。
携帯を取り出し、彼女にメッセージを入れる。
『ごめん、ちゃんと話をして誤解を解きたい』
けれど返事が来る事は無かった。
キャンプを終えて寮に戻る。
すると雅さんから荷物が届いていた。
品名は『雑貨』と書かれた大きな箱。
何だろうと思ってガムテープを剥がす。
「・・・っ!!?」
箱の中にはとの思い出の数々が詰まっていた。
しかも指輪やアクセサリーまで・・・
すぐにスマホを取り出して雅さんに連絡を入れる。
「ちょっと雅さん、どういう事!?」
『・・・・・・何の事だ?』
「荷物!!」
『ああ、荷物か。なんか知らんがお前に荷物を送りたいから名前を貸してくれって連絡があったぞ、から』
「はぁ!?何それ!!!!」
『俺が知るか!!痴話喧嘩に俺を巻き込んでんじゃねえ!!!』
そして強制的に通話が終了。
「あぁーーーもう!!!!」
スマホと財布をポケットに入れて彼女の家に向かう。
合宿で疲れてんのに!!!!
電車を乗り継いで彼女の家がある駅に着く。
スマホを取り出して電話を掛けるも、知らない女が無慈悲な案内を繰り返すだけ。
再びポケットに突っ込んで走り出す。
彼女の家に電気が点いているのを良いことにインターフォンを押す。
「あら、鳴くん」
「はぁ・・はぁ・・・・・・・・・います?」
「ええ、部屋にいるけど・・・」
「お邪魔します!!」
靴を脱いで前に案内された彼女の部屋に向かう。
ドアをノックすると「はい」と聞こえたからドアを開ける。
ベッドに寄りかかりスマホをいじっていた様だ。
壁に掛かってる上着を取り彼女の腕を掴む。
「ちょっ!?」
彼女に何も言わせず強引に玄関に。
驚いてるおばさんに「借ります」と言って外に出た。
とりあえず上着を着せて腕を引く。
駅の傍のラブホに入り適当な部屋を選んで鍵を受け取る。
部屋に入っても彼女は何も言わない。
ソファに座らせて、その前に立つ。
「どういう事?」
「どういうって・・・」
「何でプレゼント送り返してきたの?」
「それは・・・」
「・・・・・・・・・」
「鳴と別れようと」
「勝手に決めないでくんない?別れる気なんてないから」
「だって」
「が別れたがっても、俺はうんって言わないから」
「鳴・・・」
泣きたいのは自分の方なのに、彼女の目から涙がこぼれた。
「ちょっ!!何で泣くのー!?」
「鳴が好き」
「はぁ!?」
「鳴は凄い人なのに何で自分と付き合ってるのか分からなくて」
「・・・・・・」
「鳴の気まぐれかなって」
「なっ!?」
「だから淋しかったしヤキモチだって妬いたし・・・」
「・・・・・・・・・」
「鳴を好きなのに肝心な鳴は『本当に好きなの?』とか言うし」
「あぁーーーもう!!!!」
彼女の体をソファに押し倒す。
「この俺がこんなに好きだって表現してるのに何で伝わらないのかな!!」
上体を倒して彼女の唇にそっとキスをする。
少しだけ距離を取り言葉を紡ぐ。
「どれだけ俺がを好きなのかわからせるから」
唇を重ね合わせて舌をさしいれる。
息苦しかろうが何だろうが今日は絶対離さない。
俺の愛で窒息すれば良いんだ!!!
2017/01/24